ある日、アカイトはまたバンの研究室に来た。・・・本人も何故ここへ来てしまったのか首を傾げながら。
「おや、アカイトじゃないか。どうした?前回はあんなにツンツンしてた君がまたここへ来てくれるなんてな。もしや私が昨日君の名前を10000回ノートに書いたおかげか?やっぱり私は天才だからな!」
「おま・・・こえーよ」
胸を張るバンにさすがにアカイトは身を引く。
「さて・・・せっかくアカイトも来てくれたことだし、何して遊ぼうか・・・」
バンの瞳がキラリと光る。アカイトは自分の身の安全を確保しようと辺りを見回す。すると窓から見える景色の中に・・・
「・・・あれ?」
アカイトの視界の端に捕らえたものは、
「マスター!マスター、どこにいるんですかぁ・・・うわーん!」
と、泣き喚く10歳ぐらいの女の子だった。だが、もこもこな服や帽子がいまいち女の子を大人っぽくみせてしまい幼いという雰囲気が感じられなかった。これはロリコンなアカイトにはちょっと不服だったのだが、
「バン、あの子、迷子じゃないか?俺、ちょっと行ってくる!」
困っている人をほっとけない性分のアカイトは、女の子の元へ駆け寄る。
「・・・全く、アカイトは悪い奴のようで実は優しいからな・・・まぁ、そこがいいんだが」
バンはため息をついた後、バンも女の子のところへ歩いていった。
「どうしたのか?何か困ってるみたいだけど、もし俺たちに出来る事なら言って欲しいな」
アカイトは女の子と目線が合うように少し屈んでにっこりと笑いかける。
(・・・私と話すときも、こんな風だったらいいのになぁ)
密かに夢見る片思いのバン。その片思いは絶対に叶わないのだが・・・。
「・・・ぁ」
もこもこな女の子は少し怯えたような声を出してから、2人をかわるがわる見てから、
「・・・あの、おなまえ、なんていうんですか?」
と、上目遣いで聞く。
(やべぇ、この子すっごく可愛いんですけど!?)
アカイトは心の中では萌えながらも、表では冷静に優しく女の子に自己紹介する。
「俺はアカイト。そして、後ろに立ってるぐるぐる眼鏡の変なお兄さんはバンだよ」
「おい、アカイト。そういう変な説明はしなくていいぞ」
「でね、君の名前はなんていうの?」
アカイトはバンの発言を全くの無視で押し通してからもこもこな女の子にたずねる。
「えっと・・・わたしは、ひつじねもこといいます。ひつじねがみょうじで、もこがなまえです」
もこと名乗るもこもこな女の子は名前までもこもこしていた。アカイトは可愛いなぁとか思いながら、
「で、どうしたの?何かあったの?ていうかマスターらしき人が見当たらないんだけど・・・」
と、本題に戻す。
「あっ、そういえば、わたしそのマスターとはぐれたんでした!・・・ど、どうしよう」
もこは舌っ足らずに呟く。
「・・・バン、これは相談なんだけどさ、この子を保護しねぇか?」
アカイトは後ろにいるバンに聞く。
「君の口から保護という言葉が出てくるなんてな。しかもロリコンである君の性格から考えるに保護というよりはむしろ監禁だとばかり思っているのかと推測したのだがなあ」
バンはずり落ちそうになるトレードマークの眼鏡を掛け直しながら呟いた。
「おm・・・」
アカイトはキれそうになるも何とか踏みとどまり、もこに手を差し出す。
「じゃあ、俺たちと一緒に交番行くか。そこならおまわりさんもいるし、少なくとも俺とかそこの怪しいお兄さんに襲われる事も無いしな」
そう言って、ちらりとバンを見るアカイト。
「なっ・・・それはこっちの台詞だっ!」
「へっ、何言ってんだよ。相当ロリな癖によ」
「お前の方が何倍もロリじゃないかっ!!」
「なんだと・・・」
「あはは。おふたりっておもしろいんですね」
アカイトとバンのやり取りを聞いていたもこはふわりと笑って言った。
その笑顔に、アカイトとバンは見とれてしまい言葉に詰まる。
「・・・おふたりって、おともだちですか?」
「お、おう、そうだ「いや、私たちは恋人同士だ」
「・・・・・・・は?お前、何言って」
「もこ、信じて欲しい。実はアカイトは外見や言葉遣いこそ男を装っているがほんとは女の子なのだよ」
「・・・・お前、純粋な女の子に向かって全くの嘘を言ってるんじゃねぇよ」
アカイトはバンを白い目で見てから、もこに、
「・・・俺と、そこのすんごい怪しい人とどっちの言うことを信じる?」
と、極めて優しく言う。
「んー・・・そうですねぇ・・・」
もこは、目をばちくりさせて2人をかわるがわる見てから、
「やっぱりマスターでしょうか・・・?まだおふたりのことはいいひとだっていがいはまったくわかりませんから・・・」
少し申し訳無さそうに言う。
「・・・まぁ、しょうがねぇよな!俺たちは、まだ出会ったばっかりなんだし。・・・な?バン」
「・・・そうだな。まぁ現時点じゃそれが普通だからな」
バンも案外あっさり頷く。
「じゃ、行くか」
「そうだな」
「そうですね!」
アカイトの言葉にバンともこは頷いて、アカイトとバンの2人に新たにもこが加わって、3人は交番に向かったのだった。


「・・・俺たちって、はたから見たら、どんなんだろうな?」
しばらくしてアカイトは言った。
「・・・そりゃ、ラブラブなカップルじゃないか?」
「・・・・・・・そんなこと、真顔で言うな」
「・・・でも、かおがうれしそうですよ?いかにもまんざらじゃないってかんじです」
「そうだよなぁ、ほんと、アカイトはツンデレなんだからなー」
「もこまで・・・それにバン、お前一緒になって言うな!」
「おっと、暴力は反対だな。じゃれるのなら歓迎だが」
「そんなんじゃねええええ!」
その時、もこは遠くを見て、
「・・・あ!」
と、どこか嬉そうに顔をふにゃけさせた。
「マスター!!」
「・・・マスター!?」
「おぉ、良かったなぁ見つかって」
そのマスターを見て驚くアカイトと全く動揺しないバン。
「お、お前、何であの姿見て驚かないんだよ・・・?」
「・・・いや、あれは恐らく代理だろう。本人が来れない理由か何かがあるんだろう、きっと」
「でも、さすがにあれは・・・」
「マスターーーっ!!むかえにきてくれたんですねっっ!!」
もこは、その代理マスターに抱きつく。その代理マスターはもう何も言葉はいらないとでも言うように黙ったままだったが、どこか嬉しそうな雰囲気を漂わせている。
「・・・こうやって描写すると、静かな寡黙なクールなイメージだけど、あれ、ひつじだからな・・・・・・」
「いいじゃないか。ひつじはいいぞ。あったかいし、抱きがいもあるしな」
「・・・お前、ひつじ、触ったことあるのか」
「実験体として、使わせてもらう前に」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
アカイトはこれ以上バンの言葉を聞かないことにした。
「あ、あのっ!」
もこは、とてとてと、アカイトとバンの前に来て、ぺこりと頭を下げた。
「あ、ありがとうございましたっ、おふたりがいたのでぜんぜんさびしくありませんでした!!・・・あ、あの・・・」
もこは、頭を上げて、少し不安そうに、
「ま、また、あそびにきても・・・いいでしょうか・・・?」
と、聞いた。2人は顔を見合わせて頷いてから、
「いいぜ。もこがいてくれたら俺、身の安全を心配しなくていいからな」
「だめだ。アカイトと2人っきりになれないじゃないか」
と2人は全く別々のことを同時に言った。
「・・・どっちですか?」
もこもきょとんとしてしまう。
「バン、別にいいだろうが。お前も友達が増えるんだぞ?」
「もうアカイトがいるからいいんだけれどな」
「・・・じゃあ、もこがいないところで・・・・・・すればいいじゃないのか?」
少し顔を赤らめるアカイト。
「あ、そうだな」
バンは納得した風に頷く。
「・・・なんのはなしをしているんです?それって、ふわふわなのですかっ?」
「・・・っ!ちがっ・・・」
「まぁ、あながち間違っては無いな」
にやにやのバン。アカイトはすっかり顔が火照ってしまいバンを思いっきり睨む。
「お前・・・」
「また、来てくれ。私はもちろん、このアカイトも君を歓迎する」
「ほんとですかっ!?うれしいです!じゃ、またいつかあそびにきます!!それではさようなら!」
もこは、嬉そうにでもどこか慌てたように一気にしゃべって、代理マスターと一緒に去っていったのだった。
「・・・なんか、突然に始まり、突然に終わったって感じだな」
「・・・・」
「なんだ、怒ってるのか?」
「・・・そうだ、怒ってるとも。それが何か悪いか?」
「・・・・怒っているより笑ってる方がいいぞ?・・・少なくとも私は好きだけどな?」
そう言って、どこか意味ありげにアカイトを見つめる。
「・・・誰がっ・・・!」
アカイトはふいっと反対方向を向いて、歩き出す。
「・・・どこ行くんだ?アカイト」
バンも追いかける。
「どこって、そりゃ・・・・」
アカイトはしばらく迷うような素振りをしてから、
「お前の研究室だよ。・・・・そんなことも分からないのかよ」
ツン100%で呟くアカイトに、バンは心なしか嬉しくなって、
「そうか、やっと私の気持ちが伝わったか・・・・」
「・・・勘違いすんなよ?俺は、別にお前のこと好きじゃねぇからな?ただの、た・だ・の・友達なんだからな!?そこんところ、ちゃんと覚えとけよな」
今にも噛み付かんと言わんばかりにアカイトはバンを見る。
「アカイトは、恋愛対象だからなあ・・・すでに」
「うっ、嘘だろ・・・」

こうして、また時間は進んでいくのだった。




      

    一応、続く!

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【コラボ】 科音バンとアカイトと羊音モコと羊と代理とロリコンとやっぱりボケとツッコミと 【亜種】

こんにちは!辞書君と付き合いだしてから早何ヶ月・・・もううんざりしてきて、もう別れようかなと思っているもごもご犬です。でも別れちゃったらシャー君から怒られそうなのでやめときます(笑)
さて、今回は、前回に引き続き科音バンくんと私のアカイトとそして新たに羊音モコちゃんに出演してもらいました!
快く許可して下さった、しあさんとるるさんには感謝感激の意です!
ありがとうございました!
よし、これで言いたいことの半分は言えたから、あとは・・・。
文中の途中のアカイトの台詞、『・・・じゃあ、もこがいないところで・・・・・・すればいいじゃないのか?』のところは、完全ご想像にお任せします(笑)

この頃、やけに忙しいです。何でこんなに忙しいの?とついつい聞きたくなるくらいに忙しいです。
なので、何回も言うようでうんざりしますがこれからは主に週末しかここへは来れないと思います。・・・週末だけ。
うわーん!ただでさえ週2か3なのに。
というわけで返信やら更新やらが相当遅くなると思いますが、気にしないで下さいね!・・・ま、別に気にしてもいいですけど(笑)
それでは次回がいつになるか分かりませんがさよなら&失礼しました!

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投稿日:2010/01/16 15:12:26

文字数:3,980文字

カテゴリ:小説

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