「……わたし、ですか」
「そうだ。君が強化マダラカルト実験の被験者として選ばれた。光栄に思うがいい」

 次の日、ニゴウの元には着こなしすぎて古くなった白衣を着た科学者がやってきていた。イチゴウはまだシュミレート中なので、その存在をまだ把握していない。

「……でも、わたし一応マダラカルト最強とかなんだか言われてるんですよね……?」
「そういうことになるな」
「ならばわたしじゃなくてイチゴウにさせれば……」
「イチゴウ?」

 その言葉に科学者は驚いたのか、声を少しだけ裏返らせた。

「イチゴウなんぞにこれは務まらぬよ。所詮は試作品の劣等者。あんなモノには、な」
「解りませんよ。やってみないと」

 ニゴウは、少しだけ笑って言った。
 そう言うならば、と。
 一言だけ呟いて、科学者は去っていった。



≪マダラカルト 第肆話【自己解釈】≫



 結論から言えば、イチゴウはその被験者になった。
 ニゴウの言うとおり、イチゴウも被験者としての資格があったのだ。彼は最初は考えていたらしいが、科学者がこの被験者がニゴウになる予定だったと語られると、すぐにイチゴウは首を縦に振った。
 そして、実験の日。
 イチゴウは――実験室へと運ばれた。

「ニゴウ、君も見に来たのか」
「はい。気になって」
「そうか。……まあ、そんな難しいもんじゃない。竜骨に薬をちょいと擦り込めばいいのさ。そんなもんで、手術なんてする必要もない」
「……そんなもんで?」
「ああ。……見ろ。実験は――成功したようだな」

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

マダラカルト 第肆話【自己解釈】

四話(プロット版)を真面目に書くとこうなります。次で終わります。

本家:http://www.nicovideo.jp/watch/sm17754841

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投稿日:2012/09/08 19:12:57

文字数:652文字

カテゴリ:小説

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