-第十八章-
 言ったまま、メイトはしばらく何も話さなくなった。
 誰も、声を発しようとはせず、狭い部屋に重い沈黙が流れていった。一秒過ぎるごとに、空気の重さがずんずんと増えていくように感じて、皆が固く口を閉ざした。
「…よくわからないけど、その病院にいってみない?パトカー飛ばしてあげるわよ」
 そんな風に、メイコが言ったのを聞いたメイトがうつむいたままでメイコのほうを見ようともせずに、静かに首を横に振った。
「いや、それはやめたほうがいい。アンタの首に関わるかもしれない」
「私は別にいいのよ。気にしないで。行きましょう?」
「それだけじゃない。向こうは国立病院だ。俺たちも危ない。重症のルカを心配して俺たちがのこのこやってくることを想定しての、相手側の作戦でないといえる物証は何もない」
 そういわれてしまうと、メイコも言葉に詰まる。
 また、くらい沈黙が部屋を支配した。
「な、なら、私がいく。私、守護者じゃないし、何かあってもみんなのことは話さないよ」
 そういったのは、リンだった。
 それに納得しかけたメイトを否定するようにレンがテーブルを強く叩いた。
「何、いってるのさ?これはあくまでも守護者の問題だよ?それを、守護者になるかもしれないからって、こんな大事には巻き込めない。何かあったときの保証なんてどこにもないんだよ?メイト兄も何を納得しようとしてんの?メイコ姉じゃダメで、リンだったらいい理由って何?」
 興奮して声を荒らげるレンを、リンがなだめながらソファに座らせた。
 それを見た目衣斗が深くため息をついてやっと顔を上げると、レンとリン、メイコの顔を順に見て、
「仕方ない、ここは俺が行こう。バイクがある、送ってくれなくていい。何かあれば、連絡する。俺からの連絡があるまで、勝手な行動はしないでくれ。いいな?」
 渋々、レンが頷いた。
 それから、メイトは三人を見て、笑った。訝しげにメイコがたずねる。
「何が可笑しいのよ?」
「あんた等、そっくりだな。な、レン?姉弟みたいだな」
「五月蝿い、ブラコン兄貴め」
 そうやって悪態をついたレンを見るメイトは、心なし満足げであった。そっとレンがメイトから目をそらし、リンとメイコが全く同じ動作でメイトとレンを交互にみた。
「ああ、だから、メイト『兄』ね」
 そういったメイコの言葉に、リンが反応した。
「じ、じゃあ、ミクちゃんも、お姉さんなのっ?ミク『姉』って読んでたでしょ?」
「ううん、ミク姉は違うよ。始めてあったときのイメージで、何となくお姉さんっぽい服装だったから、つい」
 そういって、レンは少し恥ずかしそうにして見せた。

 結局、三人を帰した後、メイトは国立病院への道にバイクを走らせた。
 今も、ミクが付きっ切りであるだろうから、遅かれ早かれ今日か明日あたりにでも病院に行こうと思っていた。それが、少し早まっただけである。別にいやではないが、用心してしまう。
 もしかしたら、ミクもルカの近くについているうちに、うつらうつらとして敵の侵入を許すかもしれないし、あるいは襲われてしまうことも考えられるし、なんにせよミク一人では意識の戻らないルカを守ることはできないだろう。もともと背が高いルカを連れて逃げるなどというのは、背の低いミクには到底できないのだ。
 白く大きな建物の前に着くと、メイトは駐車場の端のほうにバイクを止め、入り口の上に描かれた『帝国病院』という文字を確認し、中にはいっていった。
 病院の中では車椅子に乗って点滴をつけたまま動き回る人や、受診にでも来たのか何の病気でもなさそうな女性もいれば、白衣の医師らしき男性とそれについて何かを報告しようとしている看護師の女性が行きかう。
 それをよけながらメイトが事前にミクから知らされていた部屋に行こうとすると、受付にいた看護師らしき女性が声をかけてきた。
「スミマセン、患者さんの面会でしたら、こちらに面会なさる患者さんの名前とご自分のお名前を書いてから行ってください」
「え?あ、ハイ」
 ちょっと驚いたが、すぐに提示された書類に必要事項を書き込んで了承を得ると、そのまま奥へと少し早足で進み始めた。
「ええと…たしか、第二病棟の角部屋だとか言ってたっけか…」
 そう呟きながら一部屋一部屋のドア横につけられたネームプレートに目を通していくと、確かに突き当たりの角部屋に、ルカの名前のネームプレートがあった。
 中では、ルカが眠っているらしい、静かである。
「まだ、ルカは目を覚まさないのか?」
 ベッドの横でうとうとしているミクに声をかけた。びくっと身震いをしてメイトに気がつくと、ミクは少し恥ずかしそうに笑った後に、真剣な表情でうつむき、
「…うん…」
 といった。
「ミク、ルカは俺に任せて、少し眠るといい。随分眠そうじゃないか」
「ありがとう…。でも、ここにいるわ。心配なの…」
「何かあったのか?」
「ううん、何も。けれど、これから何かないとも言い切れないじゃない」
「そう…だな。けど、それならなおさら、何かあったときのために体力を温存しておくべきだ。ミク」
「わかったわ、ありがとう。それじゃあ、お言葉に甘えて。頼むわね」
 そう言ってミクは席を立った。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

真実のガーネット 19

こんばんは、リオンです。
昼間からアニメ見てゲームやって、少しうつらうつらしていたら昼食を寝過ごして、昼はドーナツのみになってずっとパソコンをやっていたら咳が出て喉を痛めました。
馬鹿といわないでください…。とりあえず、優しい言葉が欲しいです…(汗)
頭が異常です。
それでは、今日はおいとまします。
また明日っ!

閲覧数:208

投稿日:2009/10/07 23:29:35

文字数:2,177文字

カテゴリ:小説

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  • リオン

    リオン

    ご意見・ご感想

    本当にお久しぶりですね!みずさん!
    だ、大丈夫ですかっ!?
    そんなに疲れてしまうようなことがあったのですね!頑張ってください!(何を?)
    最後にもらったのは、多分月曜日でしょうか?
    あれです。ちょっと冬眠していたのだと思えばどうってコトないですよ!

    たしかに、結構進みましたね。
    正体が誰なのかは、ひ・み・つです★(←ウザ★)

    レンは家出したようです。凄く悲しかったんですねー。
    可愛そうに(棒読み)
    ショタといっても怒ったのでしょう、気にしないでくださいね。
    イケレンというと、レンガ調子に乗ると思うので、言わないでいいです。
    もうなんかレンが面倒くさい子になってきましたね…。リンにかまってあげるように、言っておきます。

    喉、痛めました…。
    しかも、今日の朝、体温を測ったら微熱がありまして…。
    のど飴はあるんですけどね…。だいぶ古くて…使って大丈夫なのか…。不安なのです。
    この頭が異常でなければ、世の中に頭が異常な人っていないとおもいますが…。
    じゃあ、次の投稿で!

    2009/10/08 18:38:36

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