一体此処に連れて来られてからどの位経ったんだろう?暗くて朝なのか夜なのかも判らない。頭がぼんやりして、体中がズキズキと痛む。喉がカラカラに渇いて、息をする度に自分の喉がひゅうひゅう言ってるのが聞こえる。力が入らなくて体を起こす事も出来なくて、何度も眠くなる。目を閉じたら私…このまま死んじゃうのかな…?
『俺なんか庇って、こんな怪我して…!』
王子様…。
『何で俺庇ったりなんか…!』
ごめんなさい…ごめんなさい…傷付けたくなかったの…辛い顔なんかさせたくなかったの…。
『その力…その力があれば…!俺によこせ!よこせぇっ!』
どんなに恐くても守りたかったの…これ以上傷付いて欲しくなかったの…だから後悔なんかしない…だけど…。
「会い…たい…。」
止め処無く涙が溢れた。会わないと決めたのに本当は会いたくて堪らなかった。探さないと決めたのに銀色の髪を無意識に探してた。想わないと決めたのにずっとずっと止められなかった。
「ごめ…なさい…。」
心の何処かで助けに来る事を願っていた。もう一度会いたいと願っていた。
「何を謝ってるの…?ねぇ…。」
「…もう…このまま眠らせて…。」
「眠りたいの?なら僕に力を頂戴…君の守りの力…癒しの力…王子様なんかじゃなくて
僕に頂戴?」
「…王子…様…。」
「ああ、またそうやって王子様を健気に守るんだ?凄いね、まるで聖女みたい、ああ…
最高に…気分悪ぃんだよ!」
「う…ぐっ!」
容赦の無い力で踏み付けられた。焼け付く様な痛みと苦しさで声も出ない。体がミシミシ音を立ててるみたいだった。黒い人は楽しそうに笑いながら何度も私を踏み付けると襟元に手を掛けた。
「何処まで聖女様で居られるのかな?穢れた体でも聖女様で居られると良いね。
あは…あはははは!ひゃははははははははははははははは!!!」
「やっ!…いやぁあああっ!!」
服を掴まれて引き裂かれた瞬間、けたたましい警報音が鳴り響いた。
『施設内数箇所にて火災発生、施設内数箇所にて火災発生、各自落ち着いて避難して下さい。
繰り返します…。』
何…?火災…火事?
「チッ…面倒臭い…まぁ良いや…。」
「ひっ…?!」
「助けに来るのと君が死ぬのとどっちが先かな?」
全身が総毛立った。人形よりも冷たい真っ赤な瞳で笑ったと思うと、私をボールの様に放り投げた。
「…っ!」
叩き付けられた衝撃で目の前が一瞬真っ白になって、それから真っ暗になった。
「…ゼロ…さん…。」
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