-天界の日常にて-
神A
「服が破れました」
神B
「新しい服はまだですか」
神C
「寒いです」
天帝
「織姫は?」
神A
「彦星様と昼寝中です」
神B
「昨日もです」
神C
「一昨日もです」
天帝
「……」
牛
「モォ……」
天帝
「牛まで痩せておるではないか」
天帝
「結婚は認める」
天帝
「幸せになるのも認める」
天帝
「だが神々全員の服をボロボロにするのも、牛を放置することも認めん」
二人は引き離され、7月7日にだけ逢うことを許されることとなり、そして
-七夕前日-
織姫の母
「今年もですね」
天帝
「何がだ」
織姫の母
「七夕です」
天帝
「関係ない」
織姫の母
「ではなぜ騎翼用の白鳥に鞍をつけているんですか?」
天帝
「散歩だ」
織姫の母
「七夕の日に?」
天帝
「偶然だ」
織姫の母
「去年も同じことを言っていましたよ」
-カササギ隊にて-
隊長
「今年も橋渡しの依頼書が届いた」
新人
「またですか」
隊長
「毎年だ」
新人
「依頼主は?」
隊長
「匿名希望だ」
新人
「ですが、筆跡が天帝様と同じなのですが」
隊長
「言うな」
-出発前-
織姫の母
「今年も見に行くんですか?」
天帝
「行かん」
織姫の母
「じゃあその白鳥は何ですか?」
天帝
「散歩だ」
織姫の母
「毎年同じ日に?」
天帝
「偶然だ」
-天の川付近にて-
カササギ
「橋は完成しました」
天帝
「……そうか」
カササギ
「確認されますか?」
天帝
「橋の安全確認だ」
カササギ
「織姫様ではなく?」
天帝
「橋だ」
-織姫と彦星の再会中-
織姫
「今年も会えたね」
彦星
「うん」
(少し離れた天の川の中に身を潜める天帝)
天帝
「……問題なし」
-帰宅後-
織姫の母
「どうでしたか?」
天帝
「何がだ」
織姫の母
「織姫のことよ」
天帝
「見ておらん」
織姫の母
「彦星くんは元気でしたか?」
天帝
「……元気だった」
織姫の母
「見てきたんですね」
天帝
「見ておらん」
-翌年になり-
織姫の母
「今年は行かないんですか?」
天帝
「行かん」
織姫の母
「白鳥が待機していますよ」
天帝
「散歩だ」
織姫の母
「カササギたちも集まっています」
天帝
「偶然だ」
織姫の母
「依頼書もあります」
天帝
「知らん」
-雨の年にて-
天帝
「今年は雨か……」
織姫の母
「心配ですか?」
天帝
「橋のことだ」
織姫の母
「あの二人のことではなく?」
天帝
「橋だ」
天帝
「カササギ隊を招集しろ」
織姫の母
「やっぱり心配なんですね」
天帝
「橋だ」
-エピローグ-
夜空には三つの星が輝いている。
ベガ――織姫。
アルタイル――彦星。
そして少し離れた天の川には、
デネブ――橋の安全確認担当。
織姫の母
「今年も会えましたね」
天帝
「知らん」
織姫の母
「笑っていましたよ」
天帝
「……そうか。」
織姫の母
「見ていたんですね」
天帝
「橋の安全確認だ」
終
登場人物
ベガ(織姫)
アルタイル(彦星)
デネブ(橋の安全確認担当)
特別出演
織姫の母
協力
カササギ一同
巨大な白鳥
牛
天界関係者一同
最後までお読みいただきありがとうございました。
※本作品は七夕伝承を元にした創作です。
※実際の伝承にデネブ=天帝という設定はありません。
※橋の安全確認記録も確認されていません
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