ざわつく館内、一杯の人、人、人。鼓動と共に押し寄せる背筋が凍る様な緊張感と、それを打ち消す程の高揚感。

「ユウさん!スタンバイお願いします!照明消えたらイントロ入ります。」
「OKです。」
「…見てて…騎士…。」

照明が点くと同時に嵐の様な歓声と音の波が押し寄せる。

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 黄金色に染まる校舎 君の影は長く長く伸びて
 さっきまでは見えていた筈の 君の顔がもう判らなくなってくの
 帰り道で君は黙って 私の手をそっと握り締めた
 さっきまでは平気だったけど 君の顔がもう見られなくなってくよ

 笑ってるの?泣いてるの?それとも少しは照れてくれる? 
 君の耳が真っ赤なの知ってたけど 気付かない振りしてた 
 言わせたくて

 君が居るよ 胸の奥の奥に 言葉では上手く言えないの
 伝えたくて 臆病になってく 未送信だけ溜まって行く
 消えない火が揺らめく様に かき乱すの深く強く

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歌が、声が、音が、身体に満ちて、溢れて、一つになる。照明がまぶしくて、真っ白で、世界に一人で居るみたい。ううん…違う…一人じゃないよね…私は…私は…!

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 君が居るよ 胸の奥の奥を 独り占めしているのずっと

 君が居るよ 胸の奥の奥に 言葉では上手く言えないの
 伝えたくて 臆病になってく 未送信だけ溜まって行く
 消えない火が揺らめく様に かき乱すの深く強く

 君が居るよ 胸の奥の奥に 溢れてもう止められないの
 伝えたくて 臆病になってく 送信する勇気下さい
 心の海波立つ様に かき乱すの深く強く

 大好きなの 待っててくれる? あと少しの勇気出すから

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「大好き…。」

一際大きな歓声が上がった。最後は…実は騎士への言葉になっちゃったけど。少しのMCの後ステージ裏に入る。

「よっし!観客ノッたね~!流石!」
「ユウちゃん良かったよ~!」
「はい!ありがとうございます!」
「ユウ、大丈夫?6曲挟んで次、それ迄少し休んでて良いから。」

まだドキドキしてる…。でも、すごく楽しい…!と、少し奥に騎士を見付けた。私は思わず走って飛び付く。

「…騎士っ!」
「えっ?!ちょ…スズミ…?!」
「ねぇねぇ聞いてくれた?!私ちゃんと歌えてた?!変じゃなかった?!」
「よ、良かったけど…その…スズミ…人が…。」

気付くと回りのスタッフが一斉にこっちを見ていた。我に返り飛びのく様に離れるけど、時既に遅し。

「あっついね~、ユウちゃん。」
「大変ですねぇ、奏先生。ファンに知れたら夜道で刺されちゃいますよ。」
「先生落としちゃうなんてやるわねぇ。」

皆にからかわれて私も騎士も真っ赤になってしまった…。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

BeastSyndrome -34.消えない火-

コンサート開始!

※次ページはお兄ちゃんが叫んでます。

閲覧数:248

投稿日:2010/06/08 18:35:08

文字数:1,317文字

カテゴリ:小説

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  • 門音

    門音

    ご意見・ご感想

    お兄ちゃんwwww哀れww(おい
    ま、私が殴り飛ばしたせいなんでしょうけどね♪(
    しかしまぁ、本当に調教されちゃいましたねwwうん、いいことだ!(それを言っていいのか

    そしてスズミちゃんたちも良いですね~w♪続き楽しみです!!

    2010/06/08 19:59:07

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