「……ねえ、誰?」

 彼の隣で、可愛らしい彼の『彼女』が、不思議そうに尋ねてる。

「ごめんね、デートの邪魔して……すぐに済ませるから」
「何言って…お前何でここに」

 淡々とした声で『彼女』に詫びる私と違って、彼の動揺は、顔にも声にも顕著に出ていて、何だか少し可笑しい。

「うん……。……。あ、…これ、返さなきゃ…ね…」
「え…」

 そっと彼の手を取って、手のひらに指輪を落とす。

「…さよなら」

 微かに赤い石がキラリと光った気がした。


 …どこかで予感はしてた。だから、大丈夫。

 彼が口を開く前に、私はもと来た道を引き返した。


 大丈夫。だって、ほら、私の瞳からは涙も流れてこないじゃない。


 * * *

 ―1週間後

「…指輪は?」
「……。目敏いわね…」

 お茶を出した私の左手を見て、眉間に皺を寄せた友達の彼女は短く聞いてきた。

「…返した」
「何で!」

 何でこの子が怒ってんのかなぁ……。

「可愛い彼女がいたみたいだから」
「はぁ?!」

 友達の彼女が勢いよく立ち上がり、ガチャン!とカップが音を立てる。

「ちょっと危な……」
「何でそんなに冷静なの!張り手の1つでもかましてきたわけ?!」
「……別に……そんな……え、張り手って」
「もう!元気ないな、って思ってたら!」

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
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【歌詞創作用小説】遠距離恋愛。(5)

4話URL↓
http://piapro.jp/content/fxzd580qwxgxt8io
6話URL↓
http://piapro.jp/content/b3ibtag9pfl4o7vb


『友達の彼女』って

『friendのsteady』

ではなく、

『friendのshe』

って意味です、ハイ。


書いていて思った以上に、友達の彼女が好きになってしまって焦る私です。

閲覧数:235

投稿日:2010/08/01 23:34:13

文字数:568文字

カテゴリ:小説

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