目が覚めた時、ホテルの一室みたいな部屋のベッドに一人だった。

「え?…え?え?ここ…何処?!」

落ち着いて記憶を辿ってみる。確か私家に行って…それでお母さん探してて…。また涙が出そうになった。静まり返った家、聞こえなかったお母さんの声。お母さん…大丈夫かな…。

「あ…!翡翠さん…、翡翠さんは?!」

あの時人がいっぱい来て、私気絶しちゃって、それで…まさかここ、収容所?!翡翠さん捕まっちゃったの?!どうしよう、翡翠さん!私のせいで…私のせいで…!

「あ、起きたの?体調は大丈夫?」
「え?あ、あの…?」
「あ、ここ【Yggdrasil】だよ、スズミさんのいる施設。だから安心して。私は
ここの入居者で、工音木徒。」
「ひ…翡翠さんは?」
「翡翠さん?一緒に居た人かな?あの人も大丈夫だよ、今先生と話してる。」
「良かったぁ…。」

ホッとして身体から力が抜けてへたり込んでしまった。

「ねぇねぇ、あの人ってリヌちゃんの彼氏?」
「へっ?!ち、違うよそんな!わ、私なんか全然子供だし、相手にもされて
ないんだから!」
「そうかなぁ…?」
「そ、そう言うあなたは?」
「えっ…!わ…私は…その…。」

木徒ちゃんは顔を紅く染めると首に手を当てた。首に幾つもの紅い痕…も、もしかしてあれってキスマーク?!や、ヤダ私が照れて来ちゃった。あんなに痕付く物なんだ…激しい…って、何考えてるんだろう、私。

「んっと…よく判んないけどさ、好きなら好きって言ってみちゃえば?」
「えっ…?!そそそそそそそんな!!!だってだって、私きっと全然子供にしか見られて
 ないもん!言ったって絶対絶対困らせるだけだし、それに彼女とか居るかも!!」
「リヌさん、体調は…。」
「だから翡翠さんに好きなんて言える自信無いの!!」
「あ。」
「※★△Θ*○дφσ☆~~~~?!?!」
「え…あ…え…え…?」
「ありゃ~~。」
「うわあぁぁぁ~~~~~~~~ん!!」
「リヌさん?!」

多分私、今人生で最高速度が出せてると思う。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

BeastSyndrome -67.全力疾走-

乙女ダッシュですね

閲覧数:121

投稿日:2010/06/22 15:08:44

文字数:858文字

カテゴリ:小説

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