色彩を失ったこの街で
君は枯れた花をただ見つめていた
四畳半 読みかけの小説を手に
「花の命はとても儚いんだね」
甘い春に
溺れていく
風景が色めいていく
一人 ゆらり ゆられている
永遠を羨んだ花のように
「愛だとか哀だとか言うけれどそんなもの分かち合えるわけないよね」
汀にて咲いていたあの花はもう
「きっと枯れてる」だなんて
淡い春に
溺れていく
水彩に溶けるように
二人 ゆらり ゆられている
瞬間を見出した花はまだ枯れない
いつだって夢をみていた
そんな綺麗事
あるはずない
あるはずないのに
それでも いつか きっと わたしは
春を嫌いになったわけを
知ったら君は笑うかな 笑うだろうな
耳に残る声色の暖かさは
「さようなら」をくれないまま
不意に 凪いだ 泣いた 春に
見とれていた 花束
きっとこれは
「わたし、ずっと、ずっと、君のことを」
ゆらめいた群青と嘘だけが残った
君とあった春が
君といれた春が
わたしを攫っていく
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