きみは現れた
それは突然だった
悲しいくらいよく知ってる顔だったから
こっちを見るなよ
こんなのは呪いだ
きみはただあるはずのない尾びれを揺らした
きみと泳ぎに行ったあの日を覚えてる
太陽が西に沈(浮)んだような心地がしてさ
すぐに掴んだ手にその先は無くて
青い闇に沈んでくきみの姿さえ見逃した
全部ぼくの責任だから
呪われても文句は言えないが
こんな仕打ちあんまりじゃない?
セイレーンがこちらを見つめてくる
いつか
きみがただの水死体に戻ってしまえば
二人で撮った写真も紙になって濡れてくけど
きみがぼくの脳みその味に興味をもつ迄
ここで暮らしていよう
まだ今は
きみが動かなくなったあの日を覚えてる
太陽が二度と登らないような心地がしてさ
だけど物も言わず佇む人魚は
何度目をこすっても間違いなくあなたでした
全部せめて忘れられたら
体に染み付いた潮の香りも
流し切ってしまえるのにな
セイレーンは離してくれないみたい
つまさきをつかんで
ゆかにたたきつけて
なすがままにしてよ
罪ごと 噛み切って さあ
いつか
鏡の中水死体が写ってしまえば
二人の恋は泡になって
深海で漂うけど
きみがこの部屋を赤く染める時まで
ここで暮らしていよう
まだ今は
きみがただの水死体に戻ってしまえば
きみがただの水死体に戻ってしまえば
なんて強がりだな
本当はずっと一緒にいたいんだよ
そうだよ 恋したんだ おいていかないで
二人で撮った写真は紙になって濡れてくけど
きみとぼくの水死体がうかんでくるまで
ここで暮らしていよう
きみは現れた
それは突然だった
悲しいくらいよく知ってる顔だったから
こっちを見るなよ
こんなのは呪いだ
きみはただ泡になって消えた
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