私にはとても仲の良いユカという友達がいた。
本当に仲がよくていつも一緒にいた。
色んなところに出かけたりもしたし、ユカは大人になっても私の大切な友達だと思っていた。
ある日私達はいつものように出かけてとある女性に声をかけられた。
「すみません、この近くにコンビニはありますか?」
「はい、ありますよ!たしかあの信号を右に曲がった道にあります!」
「えっと、右に曲がって歩けばわかるかしら?」
女性は心配そうに言う。
もしかして地図が苦手なのかもしれないと思った私は、女性をコンビニまで案内しようと考えた。
「よかったら、ご案内しましょうか?」
「あら、いいんですか?ごめんなさいね。この年になると知らない場所は覚えづらいので助かります。」
平和な会話は幕を閉じる。
「カエデ!何してんの!?早く行こうよ!」
「ユカ、数分で終わるからちょっとだけ待ってて。すぐ戻るから」
「あたしと遊ぶよりもそっちの方が大事なの?」
「そういうことじゃないよ。ほんとにすぐ終わるから!」
「わかった。行ってくれば?あたし帰るから!」
そう言ってユカは怒って帰ってしまった。
「ユカ・・」
ショックを受けたけどもうどうしようもない。
ユカはなんだか思っていたかんじと違うみたいだ・・。
「では、ご案内しますね」
コンビニにまでの道で何も悪くないおばあさんが申しわけなさそうに何度も謝った。

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  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

春の楓(5)

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投稿日:2023/03/15 21:49:52

文字数:584文字

カテゴリ:小説

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