畑の一カ所に、たくさんの野菜が積まれている。
野菜を見て、熊はうなっていた。
「…一体何をしているんですか?」
近くにいた若い女に澄兵衛は尋ねる。
『しっ!』
女が険しい顔つきで振り返った。
『静かに!今、神様がいらっしゃっているんですから』
澄兵衛にも同じ姿勢を勧める。
神様?
何の神様なんだろう?
素直に聞き、何とかやり過ごすことにした。
熊が野菜をくわえ、一度大きく吠えて山奥へ消えていく。
入れ替わりに置かれた大きな魚数匹に、人々は歓声を揚げて群がり始めた。
「…良かった~、襲われなくてすんだよ」
群がりから離れた澄兵衛がそう漏らしていると、さっきの女が声をかけてきた。
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