畑の一カ所に、たくさんの野菜が積まれている。
野菜を見て、熊はうなっていた。

「…一体何をしているんですか?」
近くにいた若い女に澄兵衛は尋ねる。

『しっ!』

女が険しい顔つきで振り返った。
『静かに!今、神様がいらっしゃっているんですから』
澄兵衛にも同じ姿勢を勧める。

神様?
何の神様なんだろう?

素直に聞き、何とかやり過ごすことにした。
熊が野菜をくわえ、一度大きく吠えて山奥へ消えていく。

入れ替わりに置かれた大きな魚数匹に、人々は歓声を揚げて群がり始めた。

「…良かった~、襲われなくてすんだよ」
群がりから離れた澄兵衛がそう漏らしていると、さっきの女が声をかけてきた。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

熊の神様2

閲覧数:114

投稿日:2012/01/25 17:09:17

文字数:298文字

カテゴリ:小説

クリップボードにコピーしました