『リーン』
「………」
『…リーンッ!』
「………」
今日は言わずと知れたバレンタイン。
俺、鏡音レンはどうしようもなくそわそわしていた。
それは、俺の大好きなリンがチョコをくれないかな、と。
家には俺とリンの二人きり。
さっきからリンは熱心に新曲の楽譜を見ながら音をヘッドホンで聴いたまま、こちらに耳を傾けようとしない。
さっきから冒頭とまったくおなじ会話が数分続いているが、まったく反応なし。
もう、俺も限界。
無理やりヘッドホンを剥ぎ取ってやった。
『ちょっ!何すんのよ!!』
あわてた様子でやっと愛らしい顔がコチラに向いた。
「ねーぇ、なんで俺のこと無視すんの?」
『う、うるさわね///!今新曲覚えるので必死なのよ…っ
レンも少しは練習したらどう?』
赤面で必死な俺の姉。
バレンタインなんて頭になさそう。
それがなんだか切なくて。
「…俺、コンビに行って来るから留守番頼むよ」
考えるより先に言葉が出ていた。
『そ、そう…。気をつけて行ってね。あ!蜜柑ゼリーとか買ってきてくれると嬉しいな!』
「…ウン…、わかった」
やば、態度に出てるよ俺…。
『…………レン―?』
消え入ってしまいそうな愛おしい声で言う俺の名前。
本当は今すぐ抱きしめたい。
今すぐキスしたい。
今すぐ…
そんな気持ちを抑えて家を出た。
*
数十分後、どうしても機嫌の直らない俺は浮かない表情で家へ戻る。
玄関先。
するとリンがタオルケットを被ってすやすや寝息を立てて眠りについていた。
(…12時か…そうだよな、眠いよな…)
ちょっと残念。
バレンタイン過ぎちゃったじゃん…。
まぁしょうがないか、俺にその気がないということだ。
綺麗すっぱりなかったことにしよう、―この気持ちも。
「…風邪引くぞー」
そうつぶやいて蜜柑ゼリーが数個入ったコンビニのレジ袋を床に置き、リンを抱きかかえて寝室へ行こうとすると、リンは起きてしまった。
『…レン・・・?』
目をこすりながら言うリン。
そんなキミも可愛いと思ってしまう。
―忘れられてねぇじゃねぇか。
『おかえり・・・』
「ん、ただいま』
少し微笑んでから、おろして、と言うリン。
なんだかデレモードに入ってきたのか。
言われるままおろすと、パタパタとどこかへ行ってしまった。
俺はレジ袋を再び持ち上げ、リンを待っていた。
少しして戻ってきたリン。
すこし顔が赤かった。
『あ、あのね』
「ウン」
『バレンタインに間に合わなかったんだけど///』
「ウン」
これは、もしや?
と思った。
フラグ、立った。
『こ、コレ…!』
「!」
ぐいっと、可愛くラッピングされた小さな箱を俺の胸に押し出す。
『あ、あぁ味に、ほ、保証はないから!
これでも私の精一杯だから///
お、美味しくなかったら捨てていいからね!』
一生懸命、伝えようとしているのがわかる。
それを俺は無言で聞いてやる。
『・・・レン?
やっぱり、私が作ったのじゃ、嫌、かな…?』
涙目になったリン。
俺はリンが差し出していた箱を受け取った。
「嬉しい…ありがとう」
『…、なんかごめんね。さっきは…///
いつ渡すか迷ってt…!』
言い終わる前に抱きしめていた。
レジ袋なんか無視。
玄関先とか知らない。
今までの時間を埋め尽くすように、
強く、
強く、
強く。
『レ、レン、くる・・・しいよっ///』
「仕返し」
『///』
やっぱりもう限界。
可愛い、小さな唇にキス。
細い首筋にも、
繊細な腕にも、
脚にも、
おでこにも、
鼻にも、
ほっぺにも、
キス、キス、キス。
キスの嵐。
もう本能のまま。
『レ・///レン///こ、ここ玄関・・・っ』
「うるさい。仕返しって言ってるでしょ」
だから言ったんだ。
限界。
もう無理だ。
ブレーキが効かない。まったく。
そしてまた口をふさいだ。
「俺のこと、好き?」
おでことおでこをくっつけて、
円らな瞳を見つめて、聞いてみた。
『あ、愛してる…/////』
ああ、もう限界。
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