A
裁判官は声高らかに
「被告人、前へ」
足音は響かない
ゆっくりと口が開かれる
B
「私は彼女を愛していた」
「それ故に、復讐に手を貸した」
ある殺人事件には
被害者の遺書が残されて
サビ
「私が死ぬのは彼のせいではないわ」
「あの人に思い知って欲しいだけよ」
たった二行の短い理由
醜く歪んだ笑みの亡骸
A
裁判官の無慈悲な言葉
「判決は、有罪」
足音は響かない
彼は嘲笑を浮かべる
B
「彼女はあいつを愛していた」
「それ故に、憎しみがこみ上げる」
ある殺人事件には
彼女らの愛がありありと
D
「この意味に気付いたあの人は」
「いったいどんな顔をするかしら」
最後まで愛を語った彼女は
果たして幸せだったのでしょうか?
サビ
「彼女が死んだのは僕のせいなのかい?」
「僕は何も分かっていなかったんだ」
たった二行の嘘の言い訳
醜く歪んだ愛の結末
サビ
「私は彼女の背中を押しただけだ」
「彼女の望みを叶えてあげただけ」
たった二行の愛の真実
信じた人はただの一人だけ?
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