~前話の末文より~

少女:・・・私は“勇気めぐみ”。そう、あんたらが良く知っている“めぐみ様”だよ!。

<戦国慕歌路絵巻 風雲!鏡音伝 最終話 未来の記憶>

(来たときの神社の手前の広場)

レン:お恵さんが・・・めぐみ様??。
リン:つまり真のラスボス・・・、もしかして、と、“灯台もと暗し”だったって事?。
めぐみ:未来の技術の粋を集めた“変身能力”。なめて貰っては困る。“お恵”の姿で江戸城にいたのは、情報収集と安全な生活場所の確保だったのだ。司令塔が最終ポイントにいるとは限らないのだよ・・・。

ブーン

なんと、めぐみも光の剣を所持しており、右手で柄を掴むと光の刃を出して、リンレンに向かって構えた。

めぐみ:プラズマソード・・・。計画を全て潰された今、せめてこれでお前達に一矢報いたい・・・。

ジャキ!

レンも天叢雲剣の光の刃を出現させ、同じくめぐみに向かって構えた。

レン:俺達はこれから帰るんだ。こんな所で死ぬわけにはいかない。たとえお前を倒してでも、この先に行かせて貰うぞ!。

しかし役小角は刃を出さなかった。それどころか、要所要所で語っていた“真意”を口に出し始めたのだった。

役小角:待ってくれ、レン、それと、めぐみ様。お互いにここで戦っても何も生まれないのです。レンよ、私は幾度か君に話したはずだ。“彼女を救ってくれ”、“彼女は可哀想な人なのだ”、と。
レン:役小角さん!、だってこいつ、僕たちに攻撃意志があるんですよ!。
役小角:大丈夫だ。めぐみ様、刃を納め、まず話し合いをしましょう。めぐみ様にとっても“重要な事情”があったのですから。

シュン

レンも刃を納めた。そして、めぐみもプラズマソードの刃を納め、そして、手の力がなくなったのか、力無げに柄を落とし、最後にはぼろぼろ泣きながら、しゃがみ込んでしまった。

めぐみ:リン、レン・・・。最初に会ってから“あなた達の世界の時代”を検索してみた。大きな戦争、天変地異、いろいろな事があったけど、あなた達の住む世界・・・国だけなのかもしれないけど、おおむね平和よね・・・。

めぐみは涙を拭い、“重要な事情”を語り始めた。

めぐみ:・・・でもね、こっち側、『私たちの世界』、その未来。つまり、“私が来た時代の私が住んでいるこの国”はね・・・、破滅寸前なのよ。
役小角:・・・。
ネル、ハク:・・・。
てと:(´・ω・`)
レン:え・・だって、この時代からは考えられない・・・
めぐみ:“この時代”のこんな状態だから、この世界の未来は破滅へと進んでしまったのよ。この世界の歴史はあなた達の歴史とは全然違うのよ!。
役小角:めぐみ様・・・
めぐみ:「統制の取れない国造り」、「力無い指導者」、「従属心のない国民」・・・。それはあなた達も同じだったのかもしれないけど、こっちの世界の“他国”はね、甘くなかったのよ。あなた達の歴史で起こった戦争の数と比較にならない数の大規模な“戦争”を仕掛けてきたの。こっちの世界で規模を大きくした理由は簡単なのよ。この国は“陰陽術や召還術”、他国は“錬金術”、そして事もあろうにこの国の要人は、極度に発達した他国の“科学技術”をまねて、“科学の力”まで手に入れた・・・。
役小角:つまり私やネル達や、ヘリやタンク、そして君たちが倒してきた陰陽師達。全部、この“融合した文化の力”で作られていたのだ。
めぐみ:でもね、技術があっても、“使う人間の能力と意識”が発達してなければ、何にもならなかったの。幾度となく繰り返された戦争で、国を守るために戦って、そして死んでいった“真に心技体のある者”はどんどん減っていった。そういう人の力で、毎回の戦争で勝ち負けはなかなか決まらなかったけど、国はどんどんボロボロになっていき、残った人間の中に“護る者”が減っていったため、戦争が起こるたびに、この国の“勢力”はどんどん衰えていき、他国の侵略規模は広がっていった・・・。
役小角:私たちが来た“時代”では、もうこの国の勢力は、ほとんど無いに等しく、残った人間達はこの国にいるにも関わらず、レジスタンス規模に成り下がって、他国が残した技術や資源を奪って、この国内で抵抗していたのだ。
ネル:でも、その抵抗力もどんどん減っていき、全滅寸前になったところで、めぐみ様は決心したんです。
めぐみ:そう、過去のターニングポイントの時代に行き、私たちの時代の技術で作った“支配者や力ある者”を残し、この国の国力そのものを過去の時点で極度に上げて、まだ技術で格段に劣る“他国”へ攻め入り、過去の時点で潰し、歴史を変える・・・と。信長はその人物自体の好戦的な性格、そしてカリスマもあったため、それをフラッグシップヒューマンとしたのだ。しかし人間では寿命があるため、“永年生き続ける指導者”、“暗殺されない肉体”にするため、機械兵器である“あの”信長の姿になったのよ。
ハク:他の私たち全員も、めぐみ様と一緒にこっちに来て、いろいろやっていたわけなの。あの秀吉とは結局馬が合わなかったけど。

めぐみ:信長の支配力は上がっていき、自国内の戦乱をおおかた納め、この国の強い霊力を持つ人物すら制御できるまでになっていた。もう少しで“他国に攻め入る”事ができる・・・・そう思ったときに、あなた達が呼ばれてしまったわけ。そのあとは、知っての通りになっていって、今に至ったわけ。
レン:そ、そんなこと言ったって、俺達だって元の世界に帰らないといけなかったし・・・。
リン:そっちの事情もわかるけど、こっちにだって事情はあったのよ。
めぐみ:信長も言ったかもしれないけど、自分たち“二人だけ”が歴史の迷い子にならないようにする事と、私たちの世界が救われる事、天秤に乗せたらどっちが下に傾くと思う?。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

戦国慕歌路絵巻 風雲!鏡音伝 最終話 未来の記憶

☆オリジナル作品第9弾である、「戦国慕歌路絵巻 風雲!鏡音伝」の最終話です。

☆全ての謎の解明、そして、エンディングです。

☆今回は感傷的な終わりにしてみました。

☆長い話でしたが、お付き合いいただき、まことに有り難うございました!。

***

☆作中の“トリン”とは、トラボルタP様のリン曲“ソラトバズ”に出てくる、飛べない鳥の名前です。
ニコ動リンク:http://www.nicovideo.jp/watch/sm9293649

******

hata_hata様が、第1作目のきのこ研究所のイメージイラストを描いて下さいました!。まことに有り難う御座います!。
『「却下します!」』:http://piapro.jp/content/oqe6g94mutfez8ct

☆hata_hata様が、第2作目のきのこ商店街のイメージイラストを描いて下さいました!。本当に有り難う御座います!。
『causality』:http://piapro.jp/content/c0ylmw2ir06mbhc5

☆nonta様も、同じく商店街のイメージイラストを描いて下さいました!。本当に有り難う御座います!。
『ようこそ!、きのこ駅前商店街へ!』:http://piapro.jp/content/dmwg3okh7vq1j8i1

☆あず×ゆず様が、第8作目の部室棟の死神案内娘“テト”を描いて下さいました!。本当に有り難うございます!。
『おいでませ!木之子大学・部室棟へ♪』:http://piapro.jp/content/rsmdr1c3rflgw7hf

閲覧数:477

投稿日:2010/03/31 19:37:56

文字数:2,393文字

カテゴリ:小説

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  • nai☆

    nai☆

    ご意見・ご感想

    今回も何とワクワクするようなジュブナイル! それも、しっかりとしたテーマをもって、読者に問題提起までするとは!
    この社会派SFっぽさは、ほのかに『眉村卓』さんのSFの香りがするみたいで、とても懐かしい気持ちになりました。
    なお、“特異点”という言葉に、『超時空世紀オ○ガス』を連想してしまったことは、皆さんには内緒ですよ♪

    ところで、ちょうど職場で(の雑談で)「グローバル化が進んだ現代で鎖国政策をとることは可能か?」という話題が出たのですが、今、小説読んで“完全鎖国”の話が出るとは、ビックリたまげました! なんという偶然w

    そして…。“てと”がしゃべった! 奇跡なんですね! もうひとつ奇跡(?)といえば、重音テト(のイラスト)の投稿が公認されたみたいですねw (まさか、エイプリルフールネタじゃないだろうなw もしかして俺は、テトに「きみはじつにばかだなぁw」とか言われちゃうのかな!?w)

    そして、数々の危機を乗り切って、レンはたくましく精悍な巫女に! …って、巫女やめちゃうの!?
    うん、でも、まぁ、ある意味ハッピーエンドだねwww ←

    今回も大変楽しませていただきました。それにしても物凄いヴォリューム! ホントお疲れ様でした!

    2010/04/01 22:29:26

    • enarin

      enarin

      nai☆様、今晩は!

      > ジュブナイル!

      有り難うございます!。今回もジュブナイルテイストになりました。最後で一気に話の味が変わりましたね

      > 問題提起までするとは!

      いやー、あんまり現代の風刺で書くと、色々問題が出てくると思ったので、ピリっとした感じで抑えておきました。でもちょっと辛かったかも

      > とても懐かしい気持ちになりました

      良かったです!、嬉しいです!。社会派はあんまり強いとまずいと思ったので、”異世界”という設定にしました

      > 超時空世紀

      そう言えばそうですね。同じ特異点の題材では、私はペルソ○2罰の世界をちょっと持ち込んだ感じにしました。

      > 完全鎖国

      これは極論ですよね。実際は難しいと思ってます。今回は”別次元へ飛ばす”ってSFみたいにしましたが、海底にケーブルが通っている事を考えると、他国とは宜しくやっていくしかないようです。

      > なんという偶然w

      凄い偶然ですね!。でも今の時代、どこか他の所でも、この話題は持ち上がっているのかもですね。

      > “てと”がしゃべった! 奇跡なんですね!

      今回も最後に、てと、に喋って貰いました。まさに奇跡!。

      > 重音テト(のイラスト)の投稿が公認

      テトは4/1ネタと、utauで誕生した、本来はボカロではない存在ですが、改めて”公認”となりましたね。私も小説とはいえ、使っていたので、嬉しいです。4/1誕生だから今日なのかも。

      > 巫女やめちゃうの!?

      これは”レンの男としての成長”の証として、最後に持ってきました。ちょっと残念ですが、まぁ、あのレン君は強くなったということで。

      > ある意味ハッピーエンドだねwww

      そうですね。”ある意味”になりますね。1話とか0話のノリ、楽しかったですからね

      > それにしても物凄いヴォリューム!

      有り難うございます!。結構な容量になりました。14話分ですからね。

      このたびのご閲読、コメント、本当に有り難うございました!!!

      2010/04/01 22:55:03

  • nonta

    nonta

    ご意見・ご感想

    この戦いの理由は、国を守るためだったのですね。
    役小角、ネル、ハクの消滅は悲しいことに違いないですが…
    人に奉仕するのが目的であるロボットとして、あの三人以上の働きをした者が存在するとは思えません。
    そしてレンとリンの二人の成長。
    戦いと別れ、別の世界での未来を知った二人なら、これからの自分の世界でもしっかり生きてくれると信じます。
    ひょっとして、めぐみ様の世界では、レンとリンの二人と役小角、ネル、ハクが神話となって語られてたりするかも?とか想像がひろがります。
    素敵な作品、ありがとうございました。

    2010/04/01 22:00:53

    • enarin

      enarin

      nonta様、今晩は!

      > この戦いの理由は、国を守るためだったのですね

      はい。めぐみ達の世界の未来の崩壊を阻止するためだったのです。なんか時代劇でもなんでも無くなっちゃったんですけどね (^^);>

      > 悲しいことに違いないですが…

      自分でもちょっとウルっとしてしまいました

      > あの三人以上の働きをした者が存在するとは思えません

      そうですね。しっかりとロボットの最高の役割を果たしてくれたと思います。リンレンは仕事をしましたが、それに導いたのは、役小角やネルハクでしたからね

      > そしてレンとリンの二人の成長

      本当に成長しました。顔つきが変わるって、そう簡単ではないと思います。

      > これからの自分の世界でもしっかり生きてくれると信じます

      頑張っていい世界を作ってくれると思います。

      > 神話となって語られてたりするかも?とか想像がひろがります

      実は最後にシーンを入れようと思ったのですが、あっちの世界でいた戦国時代のその後、めぐみが戻った未来世界の今後は、想像にお任せにしようと思って、入れませんでした。きっと、リンレン、役小角、ネルハクの像は建っていると思います!。

      > 素敵な作品、ありがとうございました

      こちらこそ感謝感謝です!!。今回はちょっと長かったでしたね。でも達成感はあります!。

      このたびのご閲読、コメント、本当に有り難うございました!!!

      2010/04/01 22:36:27

  • ayuu

    ayuu

    ご意見・ご感想

    こんばんは^^ayuuです。
    拝読しました☆

    ……以外な展開ですね!いろいろ驚きました。
    めぐみさん達の世界が、どうも私達の世界の未来だと考えてしまいます。私の考えすぎかもしれませんが……。
    相変わらずenarinさんの小説は深いですね。
    めぐみさんも本当は国思いのいい人かもしれませんね。
    リンレンのおかげで歴史は変わりましたが、ネルハク達が……><
    涙腺崩壊しかけました!
    それと、リンレンの絆が深まってよかったですね!!
    これからも仲良し双子でいてほしいです>w<

    とてもこのシリーズ面白かったです。(enarinさんの小説は全て面白いのですが)
    いろいろな事を考えさせられて……。こんな素敵な小説を書けるenarinさんを、
    本当に尊敬します。

    次回作も楽しみにしています♪
    ではでは~ノシ

    2010/04/01 21:15:08

    • enarin

      enarin

      ayuu様、今晩は!

      > いろいろ驚きました

      この最後、実は一番最初の初期設定の時点で決まってました。いつもはそういう設定は変わっていくのですが、今回は変えませんでした。というか途中の役小角らのセリフで、この最後を示唆していたので、変えられなかったというか・・・

      > 私の考えすぎかもしれませんが

      実はめぐみのセリフにある、いくつかのワードはちょっとだけ現代を風刺してます。なので”めぐみの世界は完全独立した違う世界”の味がちょっと薄れた感じになったかもです

      > 相変わらずenarinさんの小説は深いですね

      今回はバトル中心だったわりに、最後は深いテーマを扱う事になりました。ちょっとだけ”スーパーヒーロー”の時の味があるかもです

      > 本当は国思いのいい人かもしれませんね

      事の発端はめぐみの行動ですが、彼女としても”この国を救いたかった”という意志で動いてました。エゴを満たすためではないんですよね。でもそれは結局間違った結果をもたらす事だったから、失敗して良かった、ということですね

      > 涙腺崩壊しかけました!

      実は”文章の第1回目の執筆”の時点で、私も自分で書いていて、ウルっとなりました。ちょっとT2のシュワちゃんの結末をリスペクトしてます

      > これからも仲良し双子でいてほしいです>w<

      ずっと仲良し姉弟でいると思います。喧嘩なんかしたら、どこかにいるかもしれない役小角さんに怒られちゃうかも?

      > このシリーズ面白かったです

      有り難うございます!。とっても嬉しいです!。今回はバトル物だったので書いていて楽しかったです。でも”シナリオ”の部分は結構苦戦しました。何回か書き直したところもありましたし

      > いろいろな事を考えさせられて……

      今回はテーマでは一番重いかもしれませんね。最後の結末は”リスクを背負って安全な道を選ぶ”だったので、煮え切らない所もありました

      > 次回作も楽しみにしています♪

      有り難うございます!。頑張って作ってみようと思います!。

      このたびのご閲読、コメント、本当に有り難うございました!!!

      2010/04/01 21:55:30

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