時計の針が日をまたいだ様だ。
1秒1分1時間1日。
どんどんと削られる時間。
まだ,指名が,果たせて,ない。

私がやるべき任務が,終わって,ないのに。

*

Side Len

隣で眠っている君は涙を流しているのを
気付かないフリをして眺めていた。
彼女から話してくれる前,僕は突然メイコ姉さんに止められた。
[またあの妖怪の所へ行くのか]と。
聞きたくなかった事実が次々彼女の口からぽんぽんと繰り出される。
[どんな彼女でも守る]と決意したのが遠ざかっていく。

それでも。
僕は行った。
愛しき彼女の元へ。毎日。

「…起きてるでしょ」
『…うん』
「私ね」

リンは大きく深呼吸すると,寝たまま僕のほうへ身体を向ける。
涙とぼそぼそと聞こえた声を照らし合わせれば言いたい事などすぐ分かる。
それでも…彼女は視線を僕の方に向けないのはいつもの事。

「もうじきいなくなるの」

ぎゅっ,と身体が強張るのが分かる。
彼女と初めて会った時よりずっとずっと。
息が苦しい。酸素が吸引出来なくなる。
それでも必死に笑顔を作って,[大丈夫]の印を見せた。

「だから…もし…わた…し…くう。き…なた…ら」

*

今更ながら涙が溢れて止まらない。
この現実を止める事は出来なかったのだろうか?

何のために僕と君は出会ったのか
頭の中はぐちゃぐちゃ
何もかも。
自分の生きている理由さえ分からない。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

Apple Alice ...6

閲覧数:180

投稿日:2011/03/22 20:02:41

文字数:598文字

カテゴリ:小説

オススメ作品

クリップボードにコピーしました