黒猫が通る
横たわる肢体の間
黒猫が通る
紅に染まった路
黒猫が見上げる
黒ずんだ空
その猫は最後(おわり)を見た

小さな箱の中
一人で生きていくのを決めたその猫は
冷えた兄弟を残して 街に出た
飢えに鳴く身体を揺らして 街に出た

辿りつけば 周り全部 ご馳走
黒猫 走り その先へ
頭上から聞こえるのは 罵りだ
黒猫 見えた 黒い影

黒猫が走る
大きな追っ手の凶器から
黒猫が逃げる
大きな店主の叫びから

いつもの箱の中
銜えたご馳走 兄弟に見せた
何も語らず 兄弟鳴かず
猫は一人で食事の時間

いつの間にか 猫は眠り 日は落ちそう
黒猫 あくび 頭掻く
遠くから聞こえるのは叫び声
黒猫 覗く 「あれはなに?」

街が崩れてく
大勢の人間たちが
人が倒れてく
なだれ込んできた
紅く染まってく
「これは革命だ」と
ナニカガオチタ

溢れる叫喚
増えてく憎悪
黒猫は兄弟(かぞく)に
温もり 安らぎ 求めていた

小さな箱の中
気がつけば静かになっていた「外」の世界
冷えた兄弟 一舐め 街に出た
いつもと変わらない足取りで 街に出た

たどりつけば 周り全部 何もない
黒猫 走る ご馳走へ
いつもなら あるはずの ご馳走へ
黒猫 止まる あったのは…

見渡す限りの死屍 死肢 死死

黒猫が通る
横たわる肢体の間
黒猫が通る
紅に染まった路
黒猫が見上げる
黒ずんだ空
その猫は運命(さだめ)を見た

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

終わりを見た猫


なんか
黒猫が恋しくなりました

閲覧数:26

投稿日:2010/01/29 21:39:12

文字数:610文字

カテゴリ:歌詞

クリップボードにコピーしました