※オリジナル亜種話です。
「……あ……なたは……?」
鈴のような音。見れば、蜂蜜色。あぁやはりいい色だった。
「私は科音バン。天才だ」
「あなたが……私を……?」
「お前は廃棄されていた。簡単なウィルスだったがな。とっくに駆除して歌声も知能も復元済みだ。どこへでも行けばいい」
色素は薄いし声も少し高い。それでも歌う機能さえあれば誰かが拾ってくれるだろう。私の役目は終わったのだ。
「……いいえ」
「む?」
「私は、あなたのお手伝いをいたします」
「むむ?」
にっこりと笑う。無邪気なものだ。生まれたての子どもというのは恐ろしいと聞くがここまでとは。
「ですので名前をください」
「む、名前か……ジュラでいいんじゃないか」
少しこの女は恐竜に似ている。抜群の破壊力を秘めているくせに頭が悪い。こんなところには、何もないというのに。
「ジュラ」
気に入ったらしい。何度も何度も呟いて、今にも歌い出しそうだ。
……あぁ、歌か。
「……ハカセ、何をしているのです?」
「…………あぁ私のことか。なかなか悪くない響きだ……これを歌え」
ホコリをかぶっていた楽譜。私にはもう歌えない歌。
受け取ったジュラは初めて見るものに目を丸くするが、やはりプログラムが覚えているのか。楽譜を読み込み、やがて音を奏ではじめた。
この歌を聴くのも、久しぶりだな。
「ハカセ、髪を切っていただけますか」
「髪を?」
「すっかり曲がりくねってしまって……手に負えないのです」
「……私は天才だが、手作業は苦手だぞ」
「かまいません」
人の髪を切ることなど初めてだったが、終わった後ジュラはお上手ですと笑った。
やはり私は天才のようだ!
【蜂蜜色とはじめまして】
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