教会の鐘の音と、皆の撒く花吹雪と、それからいっぱいの笑顔。やっぱり憧れるなぁ、結婚式って…。

――Piririririri…Piririririri…Piririririri…

「もしもし…あ、密さん！」
「今大丈夫か？式が終わった辺りかと思って。」
「はい、あ、ブーケトスの前ですね。」
「ん？誰から？」
「密さんです。」
「あー、あの人来られなかったんだっけ。久し振りに会えると思ったのに残念ね。」

そう、密さんは式の直前に海外出張が重なって残念ながら欠席になってしまった。

「まぁ、俺等はしょっちゅう顔見るしな…。」
「うん…鬼執事長だからね…。」
「コラ、聞こえてる。」
「わわわ?!ごめんなさい！」
「皆元気そうか？」
「はい！ネムリさんすっごく綺麗ですよー！写真送りますね！」
「楽しみにしとく。ああ、浬音、ちょっとそこのバカに代わって。」
「……………………………。」
「…鳴兎に代わって下さい、浬音お嬢様。」
「はい、鳴兎、電話。」

どうも密さんは鳴兎を弄るのを面白がってるんだよね…、鳴兎は『気にしてない。』って笑ってるけどあんまり苛められるのも腹が立つって言うか、やっぱり悔しい訳で…。

「ん。」
「え？もう良いの？何の話だったの？」
「ん～…確認事項？」
「？？？…もしもし？」
「おい、浬音、鳴兎の色ボケ何とかしろ、聞いてるこっちが恥ずかしかったぞ。」

色ボケ?!…確かに毎日の様に脳がウニになる様な事言ったりやったりするけど…！

「鳴兎何言ったの?!」
「内緒。」

気になるけど具体的に聞くのも恥ずかしいかも…。

「浬音ちゃん、ブーケトスだって。」
「皆ー、こっちこっち。」
「ルイ！有利過ぎるぞ！かがめ！」

女性陣がはしゃぎながら集まっていた。ブーケトスってやってみたかったんだよね。

「密さん、そろそろ時間じゃないの？」
「あぁ、今行くって…それじゃ切るよ、来週には戻るから。」

え？…今の声…誰?!――聞き返そうとした時プツリと通話が切れた。き…気になるんですけど…?!

「浬音ー。」
「はぁーい！今行くー！」
「投げるよぉ～？せ――のぉっ！」

お母さん、お父さん、空の上から見えますか？いろいろあったけど、私お兄ちゃんと会えたんだよ。お兄ちゃんはね、もう直ぐパパになるんだよ？それから…それからね…私は…。

「ねぇ鳴兎。」
「ん？」
「今幸せ？」
「目一杯、ね。」

大切な人が出来ました！