森之宮神療所シリーズSS 「森之宮先生の一日――亜北ネル版」

投稿日:2008/07/02 01:27:45 | 文字数:2,663文字 | 閲覧数:409 | カテゴリ:その他

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 森之宮神療所シリーズのSSを書いてみました。
 設定に関しましては
  ・morinomiya.info 森之宮先生と森之宮神療所☆を追いかけるページ 様
   http://morinomiya.info/index.htm
  ・君に幸あれ~森之宮神療所☆ 様
   http://morinomiyasama.web.fc2.com/sensei.html
  ・【森之宮先生アニメ化計画】 本日営業中PV 【ビデオ絵コンテ】
   http://www.nicovideo.jp/watch/sm3780484(ニコニコ動画アカウント必要)
  を参考にさせていただきました。
  尚、動画製作者のゆっかママン様の個人サイト「蒼かな」はサーバー移転中ということで今回の資料には利用できませんでした。残念です。

 ※ピアプロの利用規約により、一時更新を停止させていただきます。

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TEXT
 

 それは、とある所に。
 お世辞にも都会とはいえぬ、自然豊かな――当然、人も決して多くはない町。ひょっとしたら以前は大きい神社だったんじゃないかと思わせるような場所に、それはある。
 木々に囲まれ、喧騒とはかけ離れ、佇むその建物。
 門戸にはだいぶ古めかしくなった木彫りの看板、診療所の文字。
 いや、よくみると『診療所』ではない。神を治療する場所――『神療所』である。
 これは、そんな不思議な『神療所』にまつわる人々の、おはなし。

 紅葉を始めた木々の間から朝日が差し込み、新聞配達へと走る少女の姿を照らした。
 長い石段を駆け上がる少女の額には珠の汗が浮いている。
 肌寒くなり、息が白くなってきたからといっても、この石段は辛いと、少女はいつもながらに思う。といっても辛いのはここだけで、他の家々には自転車を使ってるのだからいいのだけれど。
 むしろ少女はこの石段が嫌いではなかった。いや、むしろ好きだといってもいい。これを越えれば……そこには神療所がある。
 少女は心の中でエールを送ると、石段へのラストスパートに取りかかった。

「おはようっ! センセ」
 庭掃除をしている森之宮先生の元へ、明るい声が届いた。石段を上がり神療所の門へと駆けてくる少女の姿がある。後ろで高く結わいた、長い金色の髪が朝日を浴びて眩しく映る。
「おはよう、ネルさん」
「はいっ。今日の分」
 ネルと呼ばれた少女。亜北ネルは肩から掛けたバッグから朝刊を取り出すと、先生へと手渡した。
「……お茶、飲んでいく?」
 誘ってくれた先生の微かな笑顔につられて、ネルの顔も輝いた。
「本当? じゃあ、甘えちゃおうかな」
「待ってて」
 先生はそう言うと。箒を縁側にたてかけて、奥へ入っていった。
 ネルも縁側に腰掛け、年季の入った木目板をそっと撫でた。心地よい風が吹き、汗が引いていくのが感じられる。目を閉じて深く深呼吸すると、森の匂いがした。
 ネルはこの神療所が好きだ。
 この場所だけではない、神療所のあるこの町が、この町に住む人が好きなのだ。最近、やっとそれに気づく余裕が出来てきた。
 この町に来る前の、荒んだ生活をしていた時には到底考えられなかったことだ。
 全部、センセのおかげなんだな――そんな事を感慨深げに考えていた、その思考は突如中断されることになった。
 ネルの顔に突如として貼りついた、忌々しい黄色い毛皮によって。

「うわあっ」
 急に視界をさえぎられて、慌ててそれを引っぺがしたネルの目の前にそれはいた。
 狐だ。一見すると狐にしか見えない。どこが違うかと言えば、ふさふさっとした尾が二本に枝分かれしているということくらいか。
 だが、いったん口を開けば――というか、一体どうやって喋ってるのかは謎だが、声が聞こえるのだ。
『なんでえ。ニヤけたマヌケ面さらしてる馬鹿がいるかと思ったら、新聞娘じゃねえか』
「なあーっ!?」
 これである。この喋る狐こそこの町において、ネルの唯一にして最大の敵である、管狐だ。
 ネルは管狐のいきなりの先制攻撃にひるまず、やり返した。
「ア、アンタこそ何よ! いきなり飛びついたりして……盛ってんじゃないの!?」
『へっ。どぅわぁーれがテメエみたいなおぼこに盛ったりするか。むしろ盛ってんのはテメエのほうだろ』
 思わぬ言いがかりをつけられ、ネルは勢いよく縁側から立ちあがった。
「何ですって! アタシのどこが盛ってるっていうのよっ」
『ヘッ。朝っぱらからあんなニヤけ面してんのは発情期のメスくらいなもんだぜ』
 と言い切った後。つかの間を置いて、にやり。とでも表情が見えてきそうな声で管狐が言い放った。
『……さては、テメエ先生目当てだな?』
「な、ななー!? 別にアタシはそんなやましい事なんてっ!」
 ネルは先ほどの先生の笑顔を思い出して赤くなった。収まった汗がまた噴出す。
 っていやいや、何を考えてるんだ。アタシの先生に対する思いはそんな不純なものじゃなくてもっとこう、ピュアな感じの! っていうか女同士だし!!
 と考えていたネルだが、呆れたような管狐の言葉で、ふと我に返る。
『おいおい、動揺してんじゃねーぞ。最もテメエみたいな棒っきれみたいな体じゃーなぁー』
「棒っきれ……ですって!?」
 言うに事欠いて棒っきれとは! と思うネルだったが痛い所を突かれた。
 いやしかし、まだ十六になったばかりのネルにだって十分、成長の余地はある。そう例えば将来は酒屋のメイコのお姉さんのようにどっかーんと。
「……言わせておけば雑巾狐っ!」
『おっ、俺のご自慢の毛皮を雑巾だとおっ!』
「雑巾でも勿体無いくらいだわ! 大体アンタみたいなのが……」
『ンだとこの……!』
「……!!」
『! ……!!』
 このようにして。お互いが顔を突き合わせるとロクな事にならない。

 いい加減に口論に疲れたのか、それとも単に息が切れたのか。お互いに肩で荒く息をついている。
 ネルは管狐の方へと一歩踏み出した。
「もう我慢ならない……今日こそその毛皮ひん剥いてやるわ!」
『やれるもんならやってみな! 俺がテメエみたいな小娘にかんた…ん……にぃぃー!?』
 管狐が啖呵を切り終える前に、その体が急に細長くなって縁側の奥へと吸い込まれていく。
 呆気にとられていたネルが見るとそこには、お茶の入ったお盆と、細長い竹筒をもった森之宮先生が立っていた。
 きゅぽんっ。
 小気味良い音を立てて、管狐の体が先生の持っていた竹筒の中にすっぽり納まった。
「……」「……」
 何事も無かったかのように竹筒を胸元にしまい。ネルへお茶を出す先生。
「……えーっと。べ、便利ですねっ」
 とりあえず何かコメントしておこうと思って、口にも無い事を言ってみるネル。
 それを受けて、お茶受けでもいかがですか? という様に管狐の入った竹筒をネルのほうへと差し出す先生。
「いる?」
「あ、いえ……結構です」
 瞬間、ネルの表情がげんなりとしたものに変わった。
「仲良く話せる相手ができて嬉しいのよ、あの子」
「……まさかっ」
 冗談を言ったのだと思ったネルが、思わず先生の顔をまじまじと見た。そこには、相変わらずいつもの微笑があった。
 乾いた喉をお茶で湿らせながら、ネルは思った。
 ――ヒートアップしてて寒く感じなかったのは、よかった……かな?
 いや、やっぱり許せん。次こそ覚えていろ、と心に固く誓うネルだった。

 もの書きの人です。DTMと歌詞はサッパリです。

 【森之宮先生アニメ化計画】 本日営業中PV 【ビデオ絵コンテ】
 http://www.nicovideo.jp/watch/sm3780484
 で森之宮先生の存在を知り、ハマる。勢いでピアプロID取得、小説投稿。

 言葉は絵や音に比べるとあまりに無力である、と感じながらもそれでも書かずにはいられないんだぜ!
 『人生とは自転車のようなものだ。倒れないようにするには走らなければならない――アインシュタイン』

 追記
 登録して投稿しておいてから知った。ピアプロは現在小説投稿を認めてないらしい。
 あまりにも多くの小説が投稿されているから無条件でokだとおもってたのに……。
 というわけで、小説の投稿はいったん停止しますorz
 森之宮先生シリーズは書き続けます。またどこか別の場所で配信できる場所が見つかればいいんだけど。

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