現在午前10:00。
VOCALOIDに学校はないからふたりとも好きなことをしてすごす。

「♪~」
「・・・・」
読書をしながら横目で音楽を聴いているリンを見ながら思う。
(何で気づいてくれなかったんだよ・・・)

・・・あのあと結局先に起きたのはレンだった。
リンを抱いて知らない間に眠った自分を今度はリンに起こしてほしかった。
自分の気持ちを伝えたかったから。
どうしてもこれだけは面と向き合っていえない。
好きだけど、好きだけど、どうしても・・・
あの時、リンの気持ちを知ったあの時、
自分と同じだと心から思った。
だからすぐにでも伝えたい、でも真正面からでは行けない
そのために選んだ道だった。
だけど、その道の先は続いてなくて、
気がついたら目が開いていた。
となりにいるリンに妙な既視感をおぼえながら。

「・・・ねぇレン?」
「うわっ!」
「えっ!?何?」
急に話しかけてきたリンに驚いて我に返る。

「・・・あ、ごめん。なに?」
「ビックリするじゃん!驚くときは何かいってからにしてよね!」
「無理だよそんなの!」
「あははwごめん冗談だって!」
「で、何のよう?」
「レン聴いてほしい歌があるの♪」
「えっ?」
「これ!」
リンからヘッドホンを渡される。
「早く早く~」
促されながら常時つけているヘッドホンをはずして渡された方に付け替える。
一体何を見つけたんだか、
「じゃ、ながすよ~」
ヘッドホンから曲が流れ始める。
それは、聞いたことのない曲だった。


どこにいけばあえるんだろう このさきにきみはいそうにない
だけど走ってみる 地図に記されていたのはここだったから
でもそれがニセモノだと気づいた あなたの気持ち知ったとき
このままじゃダメだ 行き先を変えよう。こんどこそ

会いたいようキミに 愛(僕の思い)届けたいから
そう願ったら 道が分岐(わか)れた
どっちにすすんでも 同じ答えかもしれない
(でもキミに会えるならば・・・)
向きを変えて走り出す 光が差しているほうへ
キミが手を振っているほうへ・・・


・・・・
しばらくの間その曲を聞いていた・・・ように感じた。
「レン?おーいレン!レンってば!」
「!?」
「またボーッとして、どしたの?」
「あぁゴメン、いいねこの歌」
「ほんとに聞いてたの?歌終わったの30分も前だよ?」
「えっ!?」

その言葉を聴いて驚いた。
さっきまでずっと脳内で"あの歌"が響いていたように感じていたのに
どれだけ聞き入っていたのだろう。
まるでいまの自分の様で、たどり着けそうにないような場所まで走っている今の自分みたいで
その歌詞に深く共感していた。
・・・おっといけない、また考え事だ。
リンに何か言われる前に答えないと・・・

「いい歌だねコレ」
「でしょ?」
「なんでコレ聞かせたの?」
「そりゃあだって"あたし"が歌った曲だもん♪」
「えっ?」

いまコイツなんていった?

「アレ?また固まった」
「固まってなんかない!コレ、リンが歌った歌なの?」
「そういってるじゃない」
「ココにいる?」
「そうだよ♪」
「・・・・・」
また固まる前に何か言葉を捜す。でもなんていえばいいのかわからない。

「ねぇねぇ、どんな気持ちになった?」
「・・・この歌で」
「そう!ねぇねぇきかせて!」

それなら答えられそうだ。

「なんかものすごく共感できる歌だったよ」
「うんうん」
「なんか、こう、好きな人に思いを届けたい・・・みたいな」
「そうそう」
「あと・・・って!なに言わせるんだよ!」
恥ずかしいな!

「やっぱりレンもそうだったんだね」
「はぁ?」
「この前マスターにこっそり相談したの。「レンの気持ちが知りたい」って」
「・・・・」
黙ってリンのはなしに耳を傾ける
「でね、次の日にこの歌を歌わせてもらって、マスターはこういったの」
「・・・・」
「「レンの気持ちはきっと同じだからこの歌を聞かせて確かめてごらん」ってね♪」
「・・・・」
「この時間だってマスターからもらったんだよ?二人きりになるためにね」
「・・・・」
「「この歌詞にレンが共感してくれたらきっとレンも同じ気持ちだよ」って」
「もういい!!」
「えっ!?」

聞いているレンはだんだん腹が立ってきた
こっちはこんなに遠回りしてるのにリンだけ楽な道を歩いて、
マスターにお願いした・・・だと、こっちはこんなに苦労してるのに
そうしようものならしたかった。でもこの気持ちだけは自分の力で伝いたかった
なのにリンはそうおもわなかったって言うのか?
自分の考えと少し違うけどゴールはいっしょ、けどそれじゃ意味がない!
そんな愛なんていらない!

そう言おうと思ったけど・・・

「じゃあレンは私のことを好きじゃないの?」
「うっ・・・」

そりゃもちろん・・・好きだ。
やりかたが気に入らなかっただけで気持ちは変わらない。
でも、どういう言葉にしたらいいかわからない。
感情が揺らいでうまく言葉に出来ない。

・・・・・

先に答えを出したのはリンのほうだった。
「わたしはね、レンのこと、好きだよ」
「!」
「世界で一番大好きだよ!えーっと・・・どうしようもないくらい!ってくらい」
「・・・・」
「・・・どう?伝わった?」
「・・・ぷっ、あははははは!」
「えっ?」
「なんだそれ!いみわかんねぇwwww」
「もう!まじめに答えたのに!」
「ごめんごめん、でもおかしくて・・・」
「なにがよ!」
「わかってないなぁ・・・」

気持ちの伝え方がいかにもリンらしい
不器用で
ふわふわしてて
意味不明で
だけど、とてもわかりやすい。
・・・だからだったのだろうか、
マスターをたよったのは、
二人でいるときも感じていた
ひとりじゃ皿も洗えないしカードだって切れない
まぁひとりでカードを切ることなんてないとそう思うけど
そのふがいなさに似た弱点のようなもの
それに気づかれたくなかったからだったのだろうか。

「・・・・」
「じゃあ今度はレンの番だよ!」
「え?」
「人のこと笑っておいて何も言わないなんていわせないんだから!」

大丈夫、もう言葉は決まっている。
かざりなんてつけなくていい。きっと、さっきのリンみたいになる。
いままでまわりみちばかりしてたけど、ようやくゴールが見えてきた。
そう思ったら、さっきまでのむねの重みが急に消えてなくなった。
よかった、これで言葉が出る。
息を吸ってはっきりと言う、自分の本当の気持ち。

「オレもだよ!リン、大好きだ!」


ようやくたどりついた場所。その場所はレンとリンしか知らない。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

Together-Fin

やっとおわった~
思いつきだったから非常に厳しいスタートだったけど無事終わってよかった!
う~ん・・・つぎどうしよーかなぁ。
じかいさくも見てくれたら幸いです!では~

閲覧数:116

投稿日:2011/08/02 20:54:02

文字数:2,748文字

カテゴリ:歌詞

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