「うーん…」
 「どうしたんですか?キドさん」
 「いや、最近みんながアジトによく泊まるせいか買いだめておいた食料が無くなっていてな」
 「じゃあ買いに行きましょうよ!!あそこのデパートやっとオープンしましたし」
 「そうだな…行くか」

 「うわぁーい、デパートで買い物ー!!」
 「はしゃぎすぎじゃないかクロ」
 「ボク親が忙しかったりしてほとんどこういうとこ来たことないんですー、やっぱおもしろーい♪」
 「ご主人大丈夫ですか?顔色悪いですよ?ww」
 「うるせぇ…」
 「もうっお兄ちゃんってばしっかりしてよね?!」
 「キドー、肉こっちっすー!!」
 「あぁ、今行く」
 キドの裾がくいっと控えめにひっぱられる。
 「……マリー、ダメだぞ」
 「えぇっ!!」
 お菓子を大量に抱えてきたマリーにやんわりと返す。
 「ふえぇ」
 マリーが半べそになりながらセトのもとへ走っていく。
 「あぁぁ…ダメっすよマリー、予算があるんだから。今度買ってあげるっすから、ね?」
 「でも…」
 マリーの指をさす方には…
 
 「ちょっとコノハ何してるの、ねえ!!」
 「コレ食べたい…」
 「なんで片っ端から入れてんのさ!!」
 「?」
 自分で持ってきたカゴに次々と食べ物を放り込んでいくコノハがいた。
 「あー……キド?あれ、キドー?」
 我らが団長は首尾よく順調に買い物を続けていた。どうやら気づかずに別のコーナーに行ってしまったらしい。時々、「シンタロー、計算頼む」「………1460円」などと言う会話が聞こえてくる。
 コノハの方に視線を戻すと、モモが必死に説得していた。
 「コノハさん、ダメですよ!!」
 「なんで…?」
 少し悲しそうな顔でモモを見下ろす。その子犬のようなしぐさに「うっ…」となりながらも続ける。
 「こんなに買うお金なんてないでしょうし…第一、団長さんにいいって言われてないじゃないですか」
 「……わかった」
 少しむくれながらコノハは商品を棚に戻し始める。先ほどまでコノハがカゴに入れたものをもとに戻すしかできなかったヒビヤは「はぁ…」とため息をつきながら戻すのを手伝っている。
 「ね、マリー、コノハさんも戻すんすからマリーもそれ、おいてこよう?」
 「うん…」
 
 「一通り終わったっすねー」
 「このあとどうする?」
 「あ…俺このあとちょっと用事あるから先に帰っててくれないか?」
 「……うんじゃあみんなーかえろっかー☆生もの腐っちゃいけないし?」

 くいっ

 「え?キドさん?」
 「キサラギ…ちょっと…付き合ってくれないか…?」
 顔が赤いのを隠そうと下を向いたままキドはモモに小声で話しかけた。

 「あー、なるほど♪」
 みんなにばれないように目隠ししながらやってきたのは、女性用下着売り場。
 いかにもなものばかりが売っている、ファンシーな店だ。
 「団長も女の子ですもんね!!」
 「……」
 「どれにします?」

 「これなんかどうかなっ☆」

 「「え?」」
 キドとモモの前に突き出されたのは…

 「え、いや、だってコレ………ヒモ?だよね……っていうかカノさん!?なにしてるんですか!?こんなところで」
 「え?あぁ、なんだか面白そうだったからついてきちゃった☆まぁ、それは置いといて。どうよ、コレ!!僕はキドにぴったりだと思うけどなぁ?」
 
 ドゴッ

 痛みに悲痛に顔を歪めた妙な笑顔のままカノは動かなくなった。マリーの目が赤く光っている。
 「あーあ、だからやめた方がいいって言ったのに…」
 セトがやれやれといったふうに固まったカノを引きずり、マリーの肩を抱きながら、店の外に出て行った。
 「お兄ちゃん!!なんでいるの!?」
 「え!?いやぁ…成り行きで…」
 というシンタローの目はたくさん並ぶ下着にくぎ付けだった。
 「いやぁ!!妹さんっ、今日もご主人の性欲には加減が無いようで☆」
 「うわああぁぁっ///」
 「サイテーーーーっ!!!バカバカバカバカ」
 「コノハ…シンタローを外に…」
 コノハはこくんっとうなずいてシンタローの背中を押しながら出て行った。

 「ヒビヤどれ好み?」
 「…コレ」
 「やっぱ!?黒いのに白いレースってなんか大人っぽくていいよね~」

 「あっおまえら」
 「きゃああぁぁ///ダメだよっ二人とも!!」
 シンタローやカノたちとは違い10歳、13歳のヒビヤとクロは思春期爆走中である。
 こういうモノに単純な好奇心をもってしまうのは当たり前で、ただの性欲などとは違う分、少し厄介だ。
 「うわぁなんだこれっ?!こんなの着てて恥ずかしくないのかなぁ?」
 「エロ…」
 「それがいいんじゃないの?ボクの学校とかすごいよ。いろんなエロい単語みんな知ってるの。例えばセ」
 その言葉を言う前にモモがクロの口をふさいだ。
 「せ?」
 「ヒ、ヒビヤくんはいいの!!」
 「なんで?」
 「なんでって、えっと…」
 困り果ててキドを見る。
 「えっ、俺に振るのか?あー、そうだな……まだ知らなくていいぞ、うん」
 「13になったらいいの?」
 「いやそれはちょっと早すぎるような…?」
 「えぇっ!!団長さんそれは早くないですか?」
 「そ、そうなのか?」
 そんなことをもんもんと考えてるうちに、ヒビヤとクロはある下着を持ってきた。
 「キドさんこれどうですか?」
 「ん?」
 二人が持ってきたのは白とキミドリとオレンジのボーダーカラーに、横に鮮やかなピンクのリボンがついた、この店の中では比較的地味な方の下着だった。
 「かわいー!!っじゃなくてっ!!こらっ」
 あははは、と笑いながらヒビヤとクロは店の外に行った。
 「ふう…まったく…」
 ふふ♪と少し楽しそうにモモも笑っていた。
 


 「モモさん」「おばさん」
 「何?あとおばさんじゃないよ」
 「キドさんアレ買いました?」
 「アレ?」
 「ボクらが選んだブラジャー」
 「あ、買ってたよ?気に入ったみたい☆」
 「そうですか♪」
 

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

今日もキドさんはご機嫌です

キドさんかわいーですよねー(#^.^#)

しかし僕はセトさんとシンタローくん推しなのです☆

閲覧数:15,502

投稿日:2013/02/25 22:05:27

文字数:2,510文字

カテゴリ:小説

  • コメント1

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  • エレア

    エレア

    ご意見・ご感想

    夢中になって読んでしまいました…><面白いです!

    2013/03/02 11:25:46

    • モノクロメロディー。

      モノクロメロディー。

      ありがとうございます!!
      クロくん大暴れです。ヒビヤくんごめんね…

      これからも頑張ります☆

      2013/03/02 14:30:07

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