スゥッ と息を吸って ハァ、と大きく息を吐き出す。そろそろ冬に近付いて来ている空気は冷たく、麗羅はフルリと小さく肩を震わせた。
此処は学校の屋上。今は昼休みで公邸の方からはワイワイと騒ぐ男子の声が聞こえる。
もう一度深呼吸をし、ギュ、と胸元のセーターをワイシャツごと握り締める。心臓がバクバクと何時もより速く脈打っているのが服越しからでも分かった。今日、麗羅は一大決心をし、レンをこの屋上へと誘った。その一大決心とは―――告白。
(あぁっ・・・大丈夫かなぁ・・・。す、すっごい心臓バクバクいってるけど・・・。・・・・・・でも・・・)
ふ、と自然と赤らんでいた頬を緩め、麗羅はフゥ、と諦め気味の溜息を付いた。
答えなど、聞かなくても分かっている。分かっている、けれど――――
(気持位、伝えたいよ・・・。・・・分かってるよ、本当は敵う筈無いって・・・。でも・・・良いよね? 伝える位なら・・・良いよね?)
ギュウと胸元を握り締める手に力を込める。そんな中、木枯らしとも言える風がフワリと彼女のウェーブがかった長い金髪を宙で踊らせる。その様は実に絵になっていた。
と、不意にガチャリと屋上の扉が開かれ、それに思わず麗羅はビクリと肩を震わせた。先程とは別の理由で心臓がバクバクいっている。慌てて其方の方を見ると申し訳なさそうな顔をしたレンが立っていた。
「ごめんごめん。ちょっと色々と用があって遅れた。寒かったろ?」
「え・・・う・・・。いや! 大丈夫! 大丈夫だから!」
パタパタと子供の様に腕や手を振るう。その顔は恥ずかしさとレンが来たという事の半々の理由で赤くなっていた。それを見てレンは可笑しそうにクスリと笑い、そして少し苦笑いをして「ごめん」と言った。
「い・・・いや、大丈夫。ごめんね、急に呼び出して」
「んぁ? 別に平気だよ。んで、話って?」
・・・レン君って・・・、やっぱりこういう時でも鈍感だよなぁ・・・
もう既に分かりきっている事だが改めて思い知らされる、このレンの鈍感ぶり。そんな事を心の中で思いつつ、麗羅は息を整える為、スゥッ と息を吸った。レンは不思議そうな顔をして首を傾げる。何処までも、何処までも鈍感である。
ハァ、と長く深く息を吐き出しながら麗羅はギュウ、と胸元を握り締める手の位置を僅かに変えた。心臓の音が五月蝿い。顔が カァ、と赤くなっていくのが分かる。段々と、熱くなっていく。
「・・・? 大丈夫か? 頬、赤いぞ?」
「う、うん! 大丈夫・・・。えと・・・その・・・ね?」
ス、と腕をレンの方に伸ばし、手の平を見せる。所謂「待った」である。その手の平から何かしらの気配を感じ取ったらしいレンは一歩後ずさり、取り合えず麗羅が何かを言い終えるまで喋らない事にした。
「わ・・・私・・・・・・わ、・・・・・・私・・・・・・」
段々と赤くなっていく頬を隠す様に顔を俯かせながら麗羅は言う。
時の流れが酷くゆっくりしたモノに感じる。心臓の音が耳の近くでバクバク言っている様にハッキリと聞こえる。
ギュウゥ、と胸元を握る手に力を込める。もう、言うのなら、いっそ思い切って言ってしまおう。そう、心に、強く、強く、自分に言い聞かせて、思い切って麗羅は口を開いた。
「好、きです! わっ――――――私はっ・・・・・・っ! っ・・・! 貴方の事が好きです!」
え、と言う顔をしてレンは麗羅を見る。その本人はハァハァと肩で息をして、顔を真っ赤にしていた。
時間が止まった様な―――気がした。
刹那とも、永久とも感じられる位の、時が流れた。そして、不意に、レンが口を開いた。
「・・・・・・っ・・・・・・、ご、めん」
その返事は予想していたモノだったが実際に言われて見ると ガツン、と頭を黒くて重い鉛の塊で思い切り殴られた様な感覚がした。
心が、胸が、痛い。千切れそうな程に、痛い、痛い。 ギュウ、と胸元を握り締めていた手を、力なくダラリと下げる。そして小さく「そっか・・・」と呟く。自分に言い聞かせる様に。
「そっか・・・そうだよね。ごめんね、こんな事行き成り言って。迷惑だったでしょう?」
「え・・・」
ニコッと何時もの笑顔を浮かべ、麗羅が言ったので、レンはそれが予想外で思わず驚きの声を上げた、が
「あ、いや、別に迷惑はしてないよ。あ、此れは本当な。本気と書いてマジって読む位、本当な。別に麗羅の事、嫌いじゃないよ。好きだよ。でも・・・麗羅が俺に言った“好き”って俺が麗羅に思ってる“好き”とは・・・、・・・違う、んだよな・・・・・・。後・・・俺も・・・その・・・」
「リン、でしょ?」
え、と何処か間抜けな声を出してレンは麗羅を見た。フフ、と肩を小さく震わせた後軽くウインクして見せて
「分からないとでも思った?」
と言った。
「何年レン君と同じ学校に通ってると思うの? リンや初音先輩、亞北さんまでとはいかなくても多少なりとはレン君の事、知ってるんだよ? この告白もダメもと。結果なんて分かってたよ。・・・・・・・・・・・・でも良いのっ!」
少しだけ俯かせていた顔を上げ、麗羅は綺麗な笑顔を浮べた。
泣いている、と思ったのに。強いな。
レンはふとそう思った。本当なら、泣きたいだろうに。強い。そんな所も、リンにそっくりだ。
「気持、伝えられただけで、充分だから。それだけで私は充分だから。本当に、それで私、満足なの。ありがとねっ!」
えへへー、と照れた様に笑いながら麗羅は言った。
「ごめんね、本当に・・・。・・・じゃ、私、此れで行くねっ!」
「え? あ、あぁ・・・」
その笑顔に別の意味で押され、レンはス、と横に逸れる。麗羅は少し小走りでその場を後にしようとした。ガチャリとドアノブを回した所でレンに「あのさっ・・・」と声をかけられた。後ろを向いたままなので麗羅の表情は読めない。フ、と息をつきその顔に柔らかな笑みを浮かべ、
「ありがとな」
とレンは言った。クル、と麗羅はレンの方を向き、今まで見た中で一番綺麗な笑みを浮かべ、
「如何致しまして」
と言った。そして麗羅は扉を開き、潜り、パタリ、と扉の閉まる無機質な音がして、レンはその場に一人、残された。サァ、と風が吹き、男子としては長めの一つに結わえてある髪が フワリと踊った。
「ごめんな・・・」
誰に謝る訳でもなく、レンは宙に向かって、小さく呟いた。
パタリ、と屋上の扉が閉まる音が耳に入る前に麗羅は駆け出していた。ギュウ、と胸元を片手で強く握り締めながら。
泣いちゃ駄目だ泣いちゃ駄目だ。泣いたら、困らせるから
階段を駆け終え、クルリと体の向きを変え、次に廊下を走る、所で誰かに ドン、とぶつかってしまった。その反動で三、四歩後ずさった後 「ごめんなさい」と言って頭を下げる。
「いや別に。大丈夫だから・・・。・・・って・・・麗羅?」
その声にハッとしてパッと顔を上げると其処にはリンがいた。
「あ・・・」
「そんなに急いで如何したの? ・・・って!? ちょ、えぇ!? 何で泣いてんの!?」
慌てた様にリンが言ってそっと麗羅の頬に触れる。冷たい何かが流れていた。
其処で麗羅は自分が泣いている事に気付いた。
「ど・・・どしたの? ぶつかったのがそんなに痛かった? それとも誰かに何か言われたとか?」
リンの言葉にフルフルと横に首を振り口元を手で覆った。
泣かない、て決めたのに――――。決めたのに・・・。
何でだろう、如何してだろう。涙が、止まらない。
「うっ・・・ぅあっ・・・」
とうとう堪え切れなくなって嗚咽を上げ麗羅はリンに抱き着いた。リンはそれに最初こそ驚きはしたものの、フ、とその表情を和らげその背中をトントン、と優しく叩いた。
「・・・何かあたしに出来る事・・・ある・・・?」
フワリ、包み込む様な口調でリンは麗羅に問うた。麗羅はそのリンの言葉にフルフルと首を横に振った。
「ご、めんねっ・・・迷惑かけて・・・。で、・・・も・・・今は泣かせて。今だけは・・・泣かせて。落ち着くまでは・・・このまま・・・泣いてたいの・・・」
麗羅の言葉にリンは目を瞬かせたが フ、とその口元を綻ばせ 「良し、泣け!」と言った。
「泣いちゃえば良いよ。泣きたい時は、思い切り泣け! それでスッキリしたならそのままで良いし、何か言いたいならあたしに言えば良い。泣け、思い切り泣いちゃえ! あたしが許す!」
「あ・・・う・・・」
リンの言葉を聞いて、ポロポロと大粒の涙が麗羅の頬を伝った。ギュウ、とリンを掴んでいる手に力を込めた。そして、
「う・・・、うわあああああああああっ!」
思い切り、泣き出した。大声だろうと、涙が幾ら零れ落ちようと、構わなかった。
気付いてたんだよ、ずっと。この気持が届かない事位
だって君は何時も誰かを見ていたから、私を通して
私の髪の色を通して、あの子を見ていたんだ
だから届く事の無い想いなのはずっと、始めから――分かってたんだ
でも――――― でもね? この気持、伝えた事は後悔してないよ 伝えたこの気持は、本物だから
―――――――サヨナラ、私の恋心 サヨナラ、私の初恋
コメント1
関連する動画0
オススメ作品
(Aメロ)
また今日も 気持ちウラハラ
帰りに 反省
その顔 前にしたなら
気持ちの逆 くちにしてる
なぜだろう? きみといるとね
素直に なれない
ホントは こんなんじゃない
ありのまんま 見せたいのに
(Bメロ)...「ありのまんまで恋したいッ」

裏方くろ子
君は王女 僕は召使
運命分かつ 哀れな双子
君を守る その為ならば
僕は悪にだってなってやる
期待の中僕らは生まれた
祝福するは教会の鐘
大人たちの勝手な都合で
僕らの未来は二つに裂けた
たとえ世界の全てが
君の敵になろうとも...悪ノ召使

mothy_悪ノP
奪い続ける それ以外に知らず
他に道はない ここで死ぬか生きてくか
遠い昔ただの一度 人を救う夢を見た
囚えられた姫を呼んだ 誰も寝てるその隙に
あの夜、姫が伝えたことは 俺を俺に成し得ただろう
けれど姫が伝えたことに 今も俺は惑う
姫が欲しかった そばに置きたかった
小さい身体して 嫁になれと迫っ...『鬼の波間語り』

とおくできこえるデンシオン
Hello there!! ^-^
I am new to piapro and I would gladly appreciate if you hit the subscribe button on my YouTube channel!
Thank you for supporting me...Introduction

ファントムP
A1
幼馴染みの彼女が最近綺麗になってきたから
恋してるのと聞いたら
恥ずかしそうに笑いながら
うんと答えた
その時
胸がズキンと痛んだ
心では聞きたくないと思いながらも
どんな人なのと聞いていた
その人は僕とは真反対のタイプだった...幼なじみ

けんはる
ハローディストピア
----------------------------
BPM=200→152→200
作詞作編曲:まふまふ
----------------------------
ぱっぱらぱーで唱えましょう どんな願いも叶えましょう
よい子はきっと皆勤賞 冤罪人の解体ショー
雲外蒼天ユート...ハローディストピア

まふまふ
クリップボードにコピーしました
ご意見・ご感想
囮
ご意見・ご感想
喋る暇があるなら文才くれ
2010/11/02 20:43:54
lunar
いや、私に文才なんてモノは存在しないよ。唯の駄作だからね・・・
2010/11/04 16:26:45