セツナは昨日のことを思い出していた。
部屋に黒い羽をした悪魔のシェイド、エトワール、ブーケが現れ、魔界と人間界の平和を守るために闇を浄化する悪魔たちの「祈り」にセツナが魔力のパートナーとして選ばれたとのことだった。
日付が決まったらまた知らせにくるらしいが、セツナは昨日のこともそうだが、いつもの自分の悩みにも困っていた。
魔力のパートナーは「祈り」の時に横にいればいいだけなのでそれぐらいなら今のところ危険で怖そうな感じではないし、それよりも避けられないのは結婚の運命だった。
ある意味、魔力のパートナーとして「祈り」に参加している方がこの辛い現実を少し忘れられる時間になる。
「泣いているのか・・?」
振り向くとそこには昨日のシェイドがいた。
「シェイドさん・・?」
セツナが曖昧な記憶で名前を呼ぶ。
「名前を覚えてくれたのか、嬉しいものだな。」
シェイドが心配そうにセツナを見つめる。
「どうした、何かあったのか・・?」
「うん・・、昨日も少し話したけど結婚のことが嫌で・・」セツナの瞳から涙が落ちた。
「セツナ・・!」
シェイドは羽をしまってセツナに近づき抱きしめた。
「力になれなくてすまない・・」
「・・ありがとう、誰かと一緒にいる方が辛い気持ちを忘れられるような気がする・・」
セツナは泣いた。我慢していた気持ちをはき出すように泣いた。
シェイドは泣いているセツナを優しく抱きしめた。
「ごめんなさい、私ずっと泣いていて・・」
「泣きたい時は我慢しなくていい」

「なんて呼んだらいいかな?」
涙が止まったセツナはシェイドに聞く。
「セツナが呼びたいように呼んでくれればいい」
「じゃあ、シェイドってよびすてでもいいの・・?」
「私はかまわない」
シェイドに呼び方の確認を済ませるセツナ。
「昨日は挨拶できなかったから、改めてよろしくね、シェイド」
「魔界の一方的な話で申し訳ないが、こちらこそよろしく頼む、セツナ」
クールな表情ではあるが少しだけ微笑んだシェイドはそう答えた。

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悪魔のレクイエム(2)

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投稿日:2023/10/29 14:50:56

文字数:846文字

カテゴリ:小説

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