【オリジナルマスター】 ―Grasp― 第十二話 【アキラ編】

投稿日:2009/12/21 19:35:44 | 文字数:4,549文字 | 閲覧数:164 | カテゴリ:小説

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マスターの設定で異様に盛り上がり、自作マスターの人気に作者が嫉妬し出す頃、
なんとコラボで書きませんかとお誘いが。コラボ相手の大物っぷりにぷるぷるしてます。

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アキラ、悠サンをためすの巻。

ためすといえば聞こえは悪いけど、でも、人を信じるとかっていうのは、並大抵の
ことじゃないと思っているので、多少誠実さをためされても仕方がないし、
自分の信を預けるからには、相手をためすこともいたしかたないと思ってます。
とはいえ、悠サンにはわるいことしてると思ってる、よ……!

そして私は投稿が大幅に遅れたことを謝るべき/(^o^)\
前回投稿が11月って……! 殆ど1ヶ月放置してたって……!

悠編では、先輩が喘ぎながら告白してくれてるようなので、こちらも是非!
……なんか卑猥な書き方してサーセン、私はもう黙るといいと思う。

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白瀬悠さんの生みの親で、悠編を担当している桜宮小春さんのページはこちら!
http://piapro.jp/haru_nemu_202

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TEXT
 

オリジナルのマスターに力を入れすぎた結果、なんとコラボで書けることになった。
オリジナルマスターがメイン、というか、マスター(♂)×マスター(♀)です、新ジャンル!
そして、ところによりカイメイ風味です、苦手な方は注意!

コラボ相手は、かの純情物語師(つんばる命名)、桜宮小春さんです!
(つ´ω`)<ゆっくりしていってね!>(・ω・春)



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 私は、他の誰が思っているような、強い人間ではないのだ。常に強くあろうとして、高い壁をこしらえて、攻撃されても大丈夫なのだと虚勢を張っている割には、その壁なんて実はベニヤ板ほどの強度しかないのだ。

「……ごめん」

 ほら、やっぱりあんただってそうなんだろう。
 期待はずれだったろう。幻滅したんだろう。
 私がこんなに弱いやつだと知らなかったと言うんだろう。こんなやつだとわかっていたら、近づかなかったのにと思うんだろう。
 きっと『そのひと』も、私が強い女だと思ったからこそ、精神的に寄りかかってこようとしたし、じっさい私がそれほど強くないとわかると、身体しか求めてこなくなった。
 だから私は拒まねばならない。私に強さを求めてくるのはお門違いなのだと――自分で自分が弱いいきものなのだ、とは、口にすることにすら勇気が足りないから、せめて、勘違いして傷つく人が少しでもすくなくなるように、拒絶しなければならない。
 悠サンが傷つかないように、私が傷つかないように、悠サンを拒まねばならない。



―Grasp―
アキラ編 第十二話



「気安くさわるな。あっちいって。すぐあやまるような男はきらい」
「ああ、嫌いでいい」

 そう、そうやって諦めてください。幻滅してください。呆れて、もう顔も見たくないと言ってください。
 嫌いでいい、へんなこと言って悪かった――そう言って、私から離れて行ってください。
 あなたの望む東雲晶はここにはいません。私はきっとあなたの期待を裏切ります。あなたが東雲晶に求めているものは、私の中にはありません。だから、もう近づいてこないで。

「それでも俺はお前が好きなんだよ」

 悠サンの否定の言葉に、一瞬息が詰まった。
 どうして。なんで。おかしい。ありえない。
 私には、どうしてあなたがそんなに優しい声音でそんなことを言うのか、理解できない。

「な、んで……」
「俺はそんなに頭がいいわけじゃないからな。嫌いと言われて、それでお前を嫌いになれるほど、都合よく考えられない。……嫌いだと言われる覚悟もできてた」

 思わず、と言った風に苦笑した悠サンは、もう一度腕を伸ばして、私の髪に触れる。その重みに、荒れた心が凪いでいく。涙もいつのまにか引っ込んでいて、もう頬を流れるものは何も感じられない。

「けれど、俺が、お前を好きだと思ってる……その事だけは、お前に知っておいてほしかった」

 その言葉にも、声にも、何の思惟も、何の強いも、読み取れなかった。ただ、事実を淡々と述べているだけのような、そんな印象。

「だったら」

 無意識的に口から漏れた自分の声は、鉛の硬さと重みをもっていた。
 だったら――本当にその印象がはたして真実だとしたら、このひとは、「その」先に何を見ているのだろう。
 その好意が混じり合わなかった場合を想定した未来に、このひとは何を見るんだろう。

「もし、私が『信じられない』と答えたら、どうするつもりだったんですか」
「その時はその時だ」

 意外やあっけらかんとした文言を言い放つ悠サンは、それでもどこか不安げな声音だった。

「信じられないならそれでもいい。信じてもらえるまで、傍にいて、待ってる」

 待つ。待つと言うからには、きっと悠サンは、その覚悟があるのだろう。事実、このひとは気が長いし、往々にして有言実行のひとだから。
 けれども――本当に? 私の知っている「男の人」といういきものは、待つことができないいきものだった。

「……ばかじゃないのか」

 待つ、だなんて、そんな甘言に踊らされそうになった自分へも、叱咤の意味を込めて、きちんと声を出す。震えていない声に、いつもどおりを演じられる安心と、ここまできてまだ強がろうとしている苦しさが、胸を満たしていく。

「……信じてくれないのか」
「信じる信じないじゃないんです。きもちはしかと受け取ります、でも、受け容れることはできません」

 自分の言葉に、胃が重くなる。下腹が痛い。ずきずきと、刺すような、けれど、じわじわとむしばむようなその痛み。
 受け容れられない。受け容れたら最後だ。きっと、その好意を受け取ってしまったが最後、きっとあの悪夢は再び私の身に蘇る。実際に、「またあの時のように」なってしまわなかったとしても、そうなるかもしれない可能性に怯えて、そのままいることは耐えられない。
 それなら、最初から、拒絶してしまうしかないのだ。そうすれば、これから先、悠サンも私も、傷つくことなんてないのだ。拒絶するしかないのだ。
 だから、頼むから、そんな必死な表情をしないでください。そんな、何かを乞うような目をしないでください。なにもあげられるものなんてない。きっと、なにもあげられない私に、あなたは絶望するだろう。そうなれば、きっとあなたは私を捨てるだろう。

「じゃあ聞きますけど、私の傍にいてどうするんですか。傍にいるだけでいいんですか、それで満足なんですか」

 傍にいるなんて、口で言うのはかんたんだ。それでも、物理的にそれを叶えるのはとてもとてもむずかしい。お互いに離れ過ぎていては不安が募るし、ずっと同じ空間にいては息が詰まる。人間というのは、ジレンマをもつというヤマアラシよりも、距離を掴みにくいいきものなのだ。
 ヤマアラシたちのように痛みがない分、踏み込み過ぎたこともわからないし、かといって、踏み込むべきところも、正確に判断できない。近すぎては疎み、遠すぎては代替を求める。人間とは、なんと自分勝手ないきものだろうか。
 腹の重みが増していく。痛みなんか疾うに通り越した。あとは、心の流した血が腹にたまる感触だけ。口の中に広がる、酸味にも似た苦味は錯覚か。

「――ちがうでしょう、悠サンだって男のひとだ。それで満足するなんて思えない。白瀬悠は、東雲晶を、最終的にどうしようというんですか!」

 痛みや苦みを紛らわすように、もう叫び散らすに近い言い方で、私は叫んだ。
 だってどうせまた捨てるんだろう、飽きたら私じゃない誰かのもとに行くんだろう、私以外にも女なんかたくさんいるじゃないか。
 なんで私なんだ。なんで私を選んで、私を傷つけようとするんだ。
 頼むから、私を変わらせないで――あなたも、変わらないで。私にかかわることで、変わってしまうあなたを、見たくなんかない。ここで怖気づいてくれ。ここで身を退いてくれ。お願いだ、もう、あんなかなしい思いはしたくないんだ。変わっていくあなたを見て、かなしむことなんてしたくないんだ。
 私を好きだと言うなら、どうかこれ以上私を苦しめないで。
 耳鳴りがしてきた。その耳鳴りのせいで耳がちぎれそうなほど痛くて、ぎゅっと耳をふさいだ。けれど、ノイズは収まるどころか倍増して、それでも悠サンの声だけは、はっきりとききとれてしまう。

「俺は――」
「いやだ聞きたくない!」
「訊いたのはお前だ! 最後まで聞け!」

 耳をふさぎかけた腕を、大きな手が掴んで、思わず小さな悲鳴が洩れた。腕を振り払うこともできず、首から下が硬直したままで、それでもなんとか顔を上げると、悠サンと目が合った。
 ――なんで、あんたがそんなかなしそうな顔をするんだ。
 わけがわからない。

「俺は」

 いやだ聞きたくない。聞きたくない聞きたくない聞きたくない!
 でも、耳をふさげないのは、どうしてだろう。
 本気で嫌ならこの掴まれた手を振り払うことだって容易なはずなのに。
 どうして私はそうしない。
 悠サンが苦しそうな表情をしている。
 こらえているのだ。何を――きっと、このひとは、私を、叱りたいに違いない。そんな子どもみたいな筋の通らない理屈を、と。そんな自分勝手な理屈があってたまるか、と。
 でも、それに耐えて、なにか、私に、言おうとしている。ならば、聞かないわけにはいかないだろう。

 まさか、まだこのひとになにか、夢を見ているのだろうか。
 ――このひとならだいじょうぶ、と、いうような、夢を。

 しかし、その次に悠サンの喉から漏れたのは、言葉ではなく、荒々しい喘ぎに似た咳だった。

「悠サン……?」

 喉につっかえたものを吐き出すような咳ではない。どちらかといえば、不意に咽てしまった、というような咳だった。見る間に悠サンの顔色が悪くなっていく。さっきまで私の腕を掴んでいた手は、もはや悠サンの口をふさいでいた。ふらついて、扉に寄りかかった彼は、息が上手く吸えていないようで、精一杯息を吸っていて――いや、違う。吸気に対する呼気が異常に浅いのだ。
 この症状には覚えがある!

「過呼吸……!?」

 ちらりとこちらを見上げるようにした視線は弱弱しく、それでも、顎が下がったということは、先ほどの問いには肯定の意を示してくれたのだろう。
 友人にも、過呼吸の癖のある者がいる。対処方法はわかっているのだが、いざとなると、私はいつも慌てる。
 うずくまった状態の悠サンに近づいて、あたりを見回す。なにか、なにかないか。

「待ってください、なにか袋……!」

 立ち上がりかけた私の袖に、悠サンの指が引っかかる――ほんとうは掴みたかったのだろうけれど、腕を上げることすらままなっていない。手先足先に痺れがきているのだろうか。だとしたら、ずいぶん重症なんじゃないのか!
 それでもかたくなに首を振る様子に、焦りと苛立ちが募る。

「悠サン、たのむから、おとなしくしてて……!」
「い、い……から」
「よくないよ! 苦しいんでしょ、それ、今言わないとだめなこと!?」

 どうしよう、どうしよう。
 過呼吸は、その名の通り呼吸にまつわる疾患だ。直接死にかかわったりはしない疾患だけれど、心臓の発作を誘発したりする――そんなことを言っていた、件の友人を思い出し、ぞわりと総毛立つ。
 ……なにもそんな、不安をあおるようなことを、いま思い出さなくてもいいのに!

「俺、は……っ」

 いいから黙って、とは、その瞳に気圧されて、言えなかった。すっと耳を澄ます。
 その言葉のつづきが、私の求める答えであろうとなかろうと、私は聞かねばならない。


「俺は……お前を……守りたい、だけ、だ」


 そう言った悠サンの顔は、息が上がっているはずなのになぜか穏やかで、悠サンの瞳は、とても真摯で――その表情に、私はなぜか安堵した。
 ああ、このひとは。
 私のもしかしたら、を、夢で終わらせてくれないひとなのかもしれない。
 過去の私に叶わなかった夢の続きを、新しくはじめてくれようとしているのかもしれない。

つんばるといいます。世の中のすみっこでしがないモノカキやってます。
MEIKOがすきです。KAITOがすきです。カイメイがすきです。

写真素材はサイズ・色調その他、改変自由のフリー素材です。お好きにどうぞ。
なにかが誰かの琴線に触れたらさいわいです。

⇒ブログ:http://phantomlake.blog58.fc2.com/
⇒メール:croak-crash【あっとまーく】hotmail.co.jp

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