君はこの世界にどんな夢を見るだろう
白日のもと晒された黒く塗り潰した画用紙
生きるだけの価値を自分に縫い付けるには
針も糸も足りないかな地上は少し住みにくいや

疲れたなって苦笑いにも疲れて
いつかの理想に二重線引けば
涙一粒水性のインクを滲ませてく

サヨウナラいっそ僕は
誰の目にも届かない場所へ行きたい
小夜の中眠れないよ
息苦しい吐きたい呼吸をした
サヨウナラ

君はこの世界で何を諦めただろう
愛されたいと伸ばしてた両腕さえ切り落とされて
残酷だね、やっぱ無情に過ぎ行く足は
優しい者には冷たく弱い者にもっと冷たく

どうしてかな辛くて仕方ないのに
何処へも行けずに動けないままだ
劣等感に潰される前に人を憎んだ

何もかも捨てて僕は
身軽になり鳥になり飛んで行きたい
波音が呼ぶ町まで
連れて行って見つけて地面を這う
僕のこと

〈語り〉
幼い娘の笑顔を置き去りに走る高級車
札束に賭ける笑い声
0,1秒で全人類を消滅させる巨大兵器
作っても作っても崩れ落ちる砂の城
酔っ払いを蹴飛ばし笑い転げる若者の群れ
元スナックの廃屋に燕が巣を作っている
薄汚れた世界の片隅に光る
美しすぎる命の営み

サヨウナラいっそ僕は
誰の目にも届かない場所へ行きたい
小夜の中眠れないよ
息苦しい吐きたい呼吸をした

サヨウナラ言えないまま
僕は僕の生命を守り抜くから
サヨウナラまた会うまで
生き続ける覚悟で呼吸をした
サヨウナラ