豊島茂樹です。小説を書いてみました。
その学校は、街外れの丘の上にひっそりと建っていた。外観は古びた石造りの建物で、ところどころ蔦が絡みつき、まるで長い時を経て自然に帰りつつあるかのようだった。だが、一歩中に足を踏み入れると、その印象は一変する。壁は光沢のある大理石で覆われ、廊下は自動で動く歩道になっている。天井からは浮かぶように発光するランプが吊るされ、どこか未来的でありながらも古典的な雰囲気を併せ持っていた。
この学校には、普通の学校では見られないような授業が存在している。「時間操作学」や「夢の歩き方」、「異次元の生物学」など、聞いたこともない科目ばかりだ。生徒たちは年齢も国籍もバラバラで、それぞれが自分の得意分野を持ち寄って学び合っている。そして何よりも奇妙なのは、この学校に入学する方法だ。招待状はある日突然、郵便受けの中に現れる。どこから送られてきたのかは誰も知らない。封筒には「真に学びを求める者へ」とだけ記されている。
主人公の遥斗(はると)は、そんな招待状を手にした一人だった。17歳の普通の高校生だった彼は、日々の退屈な授業に飽き飽きしていた。ある日、学校から帰る途中でポストに差し込まれていたその招待状を見つけると、不思議と引き寄せられるような感覚に襲われた。封を開けると、そこには「不思議な学校へようこそ。貴方の入学試験は明日から始まります。」とだけ書かれていた。
翌日、招待状に記された住所を訪れると、そこには例の古びた建物があった。恐る恐る中に入ると、遥斗を迎えたのは優雅な身のこなしをした猫だった。猫は人間の言葉を話し、こう告げた。
「ここは全ての知識と可能性が集う場所。君が試験に合格すれば、ここで学ぶ資格を得る。ただし、失敗すれば記憶を失って元の世界に戻ることになる。」
試験は三つの課題で構成されていた。第一の課題は、「自分の内なる声を見つけること」。広大な迷宮に放り込まれた遥斗は、自分自身の弱さや恐れと向き合うことを強いられた。第二の課題は、「他者との絆を築くこと」。迷宮の中で出会った異世界の生徒たちと協力し、難解なパズルを解き明かさなければならなかった。
そして、第三の課題は「信じる力を試すこと」。彼は自分が信じた道を選び、未知の扉を開くという選択を迫られる。扉の向こうには何が待っているのか、それを知る者はいない。しかし、遥斗は心の奥底で、この試練を乗り越えることで自分が大きく変わると確信していた。
試験を終えた彼が目にしたのは、仲間たちと共に輝く未来への扉だった。不思議な学校での生活は、遥斗にとって新しい世界の始まりとなった。
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