「どうした、今日は」
イチゴウが尋ねると、ニゴウは少しだけ体を竦めた。
「……大きな戦争が、もうすぐ始まるんだって」
「もう何度目だ。いつ終わるんだろうな」
会話は途切れ、暫しの沈黙が生まれる。
「……ねえ、イチゴウ」
「どうした」
「さみしい?」
「……何がだ?」
「独りで、さみしい?」
「んなわけないだろ。明日もシュミレートがある。早めに寝かせてもらう。……ってかお前も訓練あるんじゃないの?」
「私は、まだない」
「そっか。ならいいや。んじゃ」
そう言ってイチゴウは笑って、手を振った。ニゴウはそれをただ見つめることしか出来なかった。
≪マダラカルト 第参話【自己解釈】≫
次の日。極東帝国上層部からとある議題をついに実行すると会議内で告げられた。
ベツレヘム計画。
話を聞くと、“九龍”の方も新型兵器を投入することらしい。だから、こちらも新型のマダラカルトを製造しようという計画だ。
しかし、問題はあった。
誰を、使うか。さすがに既存の人間はまずい。となるとマダラカルトをグレードアップさせればいいのだが、それでも体質というものがある。うまく噛み合わねば使うことは愚かその実体を為すことも難しくなる。
しかし、今いるマダラカルトは僅か十数体。この中に仮にいないとするならこの計画は手詰まりとなり帝国は本気で攻めてくるものと考えられる。
あくまでもこのショータイム的戦争は元々の戦争の副産物にすぎず、今もその副産物を頼りに二つの国家が成っている。どちらにとっても手放しがたいものであるのは確かだ。
しかし、今の敵はショータイム戦争に反対意見の政権らしく、この戦いは極東帝国にとって厳しいものであることが明らかだった。
「ここで……私はある、マダラカルトを提起します」
そう言って上層部の一人が写真を取り出す。
それは――紛うことなきニゴウだった。
マダラカルト 第参話【自己解釈】
あと三話くらいで終わればいいなー
本家:http://www.nicovideo.jp/watch/sm17754841
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