花の咲く森の道を、二つの影が動きます。
緑の服の女は走ります。誰かに追いかけられている怖さからでしょうか、それとも自分のしたことを悔やんでいるからでしょうか、緑の服の女は泣いていました。
赤い服の女も走ります。腹の痛みのせいでしょうか、自分の子供たちを盗まれたからでしょうか、赤い服の女も泣いていました。
そして緑の服の女に抱えられた双子も、泣いていました。
もはやどこを走っているかも分からないとき、赤い服の女は緑の服の女に追いつきました。
「返して、私の子達を返して」
「いやっ」
赤い服の女は緑の服の女の腕をつかみましたが、緑の服の女はそれを振り払い、また走り出しました。
ついに緑の服の女が自分の家に着いたとき、赤い服の女はもう一度手を伸ばしました。しかしその手は緑の服の女の黒いローブを掠めただけでした。
緑の服の女は息を切らしながら、家の中へ駆け込みました。女が家に帰ってきたことに気づいた男は、女に優しく微笑みかけて近づいてきました。しかし男は女の腕に抱えられた双子を見て、悲しい顔をしました。そして男は語りかけるように女に言いました。
「ミク、どうしたんだいその子達は。もしかしてどこかの子達かい?」
女が何も言わずにうつむいていると、男は続けました。
「君はしてはいけないことをしてしまったと分かっているんだろう?
いいかい、僕たちの子供はもうすでにこの世にはいないんだよ。この子たちは本当のお母さんの元へ返してあげなさい。」
それを聞いた女はこう言いました。
「いつか……真実があらわになって私が死んでしまうとしても、どうしても欲しかったの……この暖かくてやさしい子達が…
お願いよ、この子達を私達で育てましょう」
「ミク!いい加減にするんだ。今ならまだやり直せる、早く元のお母さんに…」
「無理よ だってもう……」
そのとき、男はいまだ泣いている双子を抱く女の手が赤く染まっていることに気づきました。
「まさか…」
男は勢いよく家の扉を開け放ちました。そこには赤い服の女の体が横たわっていました。赤い服の女は少しも動きませんでした。
「なんということを……」
男は愕然としました。
『このことが誰かに知られてしまうと、僕達はーー』
男がふと脇を見ると、家の壁に大きなスコップが掛けられていました。男は赤い服の女のバスケットを拾うと、女にこう言いました。
「君とその子達は家の中にいるんだ。絶対に、絶対に、扉を開けてはいけない。いいね」
男はバスケットを女に押し付け、扉を閉めてしまいました。女はしばらく扉の前にいましたが、やがて双子をベッドに寝かせ、あやし始めました。
「大丈夫よ、泣かないで。これからあなた達はここで幸せになるのよ。
これからずっと……。」
【小説】moonlit bear 2【勝手に解釈】
悪ノP様の「moonlit bear」と「置き去り月夜抄」を聴いて、カッとなって書いた。後悔はしていない。
moonlit bearはこれで終わりますが、これにリンクさせた「置き去り月夜抄」も書くつもりです。
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「僕の命の歌で君が命を大事にすればいいのに」
「僕の家族の歌で君が愛を大事にすればいいのに」
そんなことを言って本心は欲しかったのは共感だけ。
欲にまみれた常人のなりそこないが、僕だった。
苦しいから歌った。
悲しいから歌った。
生きたいから歌った。ただのエゴの塊だった。
こんな...君の神様になりたい。
kurogaki
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ご意見・ご感想
orcir
その他
初めまして。楽しんでいただいて幸いです。
「めーちゃぁぁあん!(;ω;)」な曲ですよねー
もうすぐ「置き去り」も投稿しますので、お楽しみに。数年後の話みたいな感じで。
2009/07/22 19:51:17
秋徒
ご意見・ご感想
初めまして。とても面白かったです!
もう『Moonlit bear』は「め、めーちゃぁああんっっ! ノд`。)」と叫ぶためにある曲だと信じてます(←違う
童話を思わせる語りも、皆の歌にない台詞も素敵で、気持ちいいくらいどっぷりと話にのめり込めました。夫、いい感じの伏線ですね…!
続きの『置き去り~』も楽しみに待ってます!
2009/07/22 00:02:36