「なんだ、これ……」
ポケットの中にあった鉄球を持ち、広多郎は考えている。
「それは、魔溜球(まるきゅう)だな。魔力をためる道具だ。……そういうことか。等価交換に近いかもな、お前の能力は。」
「どういうことですか?」
「お前の打撃を見てて、一応測っておいた戦力は、100だった。そして、その鉄球も、そんな小さなものじゃ、せいぜい少ししか溜められない。つまり、この魔溜球の上限の魔力と、お前の戦力がほぼ同値だから、それが出できたんじゃないか?」
……なるほど。それにしても、100って、めっちゃ周りと浮いてるじゃないか。と、広多郎は思った。
「まぁ、いいか。すまんが、時間もないしな。とりあえず、みんなの戦力は分かったから、武器作成をしに行こう。」
と、劉備は言い、次の場所へと皆を連れて行った。
目的地に着いたようだ。どうやら、ここは武器を作るとこらしい。
「ドメさん、いるか?」
と、劉備は、誰かを探しているようだった。
「……どうした、劉備。」
と、奥から、渋い声が聞こえた。
「一年の武器を作りに来たんだ。はい、資料。」
と、劉備は、その人に紙を渡した。
「皆、この人が、我軍の全武器の作成を担当している、福留 定喜(ふくどめ さだき)さんだ。」
と、みんなに紹介した。
その福留さんは、どうやら長らくこの団に所属しているらしい。福留は、資料を持ち、奥の作業部屋に入っていった。
ー数分後ー
「……劉備、できたぞ。」
福留は顔を出し、箱を運んだ。
一人一人に渡されたその箱は、大きさも重さも違った。
「開けてみろ。」
劉備は催促した。どうやら、早く武器をみたいらしい。
みんな一斉に箱を開けた。
真衣は、双剣。
水面は、グローブ。
亞須加は、槍。
峯胤は、長剣。
新介は、小さい袋。
そして、広多郎に渡されたのは、刀だった。
「皆、もらったその武器は大切に使うようにな。」
と、劉備は福留の方を何度も見ながら忠告をした。
「今日はここまでだ。明日からは、実技や、座学も入る。ゆっくりやすんで、明日に備えろ。じゃ、解散!」
「なぁ、広多郎。」
真衣が、広多郎に話しかけた。広多郎は、まさか話しかけてくるとは思わず、ビクッとした。
「お前、剣とか使ったことあるのか?」
「いや…ないけど……」
「なら、俺が教えてやろうか?」
予想外の展開だ。ほぼ初対面なのに、何故か優しくしてくれる。広多郎は、真衣に、剣を教えてもらうことにした。
翌日も、授業が終わったら真衣と剣や動きの練習をした。たまに、劉備も見に来ることがあったが、劉備は何も教えなかった。
そうして、いつの間にかの3ヶ月、広多郎は、異常なほど成長した。あの時、周りとは違うとはいえ、100もの戦力を出していた。つまり、普通の人よりも、身体能力がずば抜けていたのだ。
「お前ら、もう3ヶ月経つな。と言うわけで、今から、実践をしに行こう。」
なんで、この人はいつも唐突なんだ……。と思いつつ、自分の実力を試すチャンスだと、広多郎は、少しワクワクしていた。
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