帰り道は、元の二人ずつのペアになって帰ることになった。女子陣の提案に、男子陣が応じたのだった。
「レンきゅんは優しかったなぁー」
グミは言った。
「ふーん」
グミヤは聞き流した。
「ハンバーグ美味しかったしー」
グミは語りながら、隣を歩くグミヤに時折ちらり、ちらりと目をやったが、グミヤは特に気にした様子もなく、グミの話を聞き流していた。
不満そうに頬を膨らませて、グミはグミヤのカーディガンの袖を思い切り下へと引っ張った。
「うぉっ」
驚いてグミヤが声を上げた。
「何するんだよ!」
グミヤは立ち止まって片方だけやたら伸びてしまった袖をぐみに突きつけた。しかし、グミはその袖をまたつかんで、後ろのほうにひっぱった。
「聞いてないからでしょ! もっと真面目に聞いてよ!」
「きいてんだろ!」
言い合いながら、グミヤはため息をついた。
「レンが優しいのも、料理うまいのも知ってる。…それで?」
グミは頬が高揚していくのを感じた。恥ずかしいのではない。そういうグミヤの言い方に、腹が立ったのである。
「グミヤの馬鹿!!」
グミが怒鳴ると、グミヤもそれに応じる。
「馬鹿はどっちだ、馬鹿! なんだ突然かんしゃく起こして!!」
「馬鹿じゃないもん! 馬鹿!!」
また二人の喧嘩が始まった。
「リント君かっこよかったなぁ」
リンは言った。
「へぇ」
レンは聞き流した。
「お風呂上りとか、水も滴るナントカってカンジで」
「…」
レンは何も言わなかった。ひょいとかがんで、リンはレンの顔を覗き込んだ。
「…どしたの、レン」
「別に」
さっさと歩いて行ってしまうレンを追いかけながら、リンは確かな手ごたえを感じていた。
「ねえ、レンってば」
「なんでもない」
つんとしてレンはリンに目もくれず歩いていく。
「もしかして、ジェラシー?」
ふと、レンは立ち止まって振り返った。
「え? 何が?」
リンは凍りついた。え、何が、って、寧ろ何が?
「いや…なんで話し聞いてくれないのかと思って…」
無理に絞り出した声に、レンは少し困ったように笑って、
「ごめん、夕飯の献立考えてて…」
また、リンは凍りついた。
「はぁぁああぁああ!?」
「あ、あのね、昨日はすごくね、楽しかったの…」
レンカは言った。
「あ、そ」
リントは聞き流した。
「グミヤ君すごく優しくて…その、リント君とは違う感じって言うか…」
リントはちらりとレンカを見た。すると、レンカと目が合って、レンカははっとして視線をそらし、黙った。
「それで?」
「なんでもないよ!」
「なんでもないことねぇだろ」
「あの…グミヤ君が優しくて…それだけ…」
また怯えているな、とは思ったが、リントはレンカの手を軽く握って、それからレンカにあわせて歩き出した。
「別にお前が誰をどう思ってようと、どうでもいいっつの」
レンカはリントの手を握り返した。
「違うぞ? これは、ホラ、レンとグミヤがこうするといいって…」
しどろもどろになりながら、リントが言い訳をした。
「分かってるよ」
レンカは笑いながら答えた。ぐっと体をリントに密着させ、レンカはリントの隣を歩いた。
が、すぐにリントは足を止めた。レンカが顔をあげ、リントの視線の先を見た。
「――お母さん…」
Some First Loves 24
こんばんは、リオンです。
少し遅刻しましたが、許してください。
裏設定的なお話。
リンレン→近づきすぎて純粋に愛せない腹黒恋。
ミヤグミ→一番純粋でナチュラル、よくある少女マンガ。
リトレカ→両親がいない間だけのタイムリミットつきの恋。
『結婚ができる』、『親戚』、『昔からお互いを知っている』
のそれぞれに属するペアが二つずつある構成です。
だから何を言いたいのかと言うと、そろそろ収拾がつかなくなってきました。
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