失ったあの時の歌声も
今は雑音さえも聞こえない
その耳をもつ盲目の彼は
生きる力などあるはずも無く

力抜けているその両手に
いくつもの温もりを与えただろう
神様など頼った時も
答えられないの 私も人間だから

『神様などいないわ』
ごめんなさいと 言っても貴方には聞こえないから
ただ黙ってその両肩を 抱きしめる事しかできないの

突風の如く 駆け巡りたい両足さえ
切り落とされればただの氷像だから
この大地に足を着くことさえも
きっと 遠い 夢のお話





美しい花を並べても
貴方は 興味さえ湧かないのね
色んな 季節を作っても
貴方は 季節を見る事はできない

貴方のその冷たい手のひらを
この両手で温めれば それで
いいと雨を降らせ続けた
梅雨の時期も 貴方を冷たくする

『泣いてはいけないわ』
愛のある 雨でも貴方の体温を全て奪ってしまう
私の存在全てが 貴方から希望を奪い去る





からくり仕掛けの世界に舞い降りたのは幼い桃色の娘
優しい瞳の青年に 恋をして 父を怒らせた





『全てが敵だとしても 祈りを 願いを
私はあの日の 温もりを歌いたい』
少女は青年にそう囁いて

今日も明日も 来ない希望を抱いて願った



そう 少女こそが 女神なのだと
青年も村人も気づかないだろう
それでも少女は 青年に付き添った

青年の瞳に 少女は 映った

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

少女と氷像の青年

口も目も耳も手足さえ動かない青年と少女のお話です。

少し民族風をイメージしました。
遠い魔法の村、と言うイメージを
頭に浮かべていただけると嬉しいです。

閲覧数:65

投稿日:2012/05/17 15:51:54

文字数:589文字

カテゴリ:歌詞

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