んーーーー!

わたしは、思いっきり伸びをする。

「リアさん、ここは気に入りましたか。」

とキーツさんが言う。ふと、何かがおかしいなと思う。なんだろ?     あ、「リアさん」がおかしいんだ!

「キーツさん、さんずけで呼んでいただけるのはうれしいですけど、なぜリアですか?わたしはミクですけど・・・」

いっしゅん、キーツさんがぽかんとした。

「リ・・・いえ、ミクさんは前世を覚えていないのですか?」

いやいや、おぼえてるほうがおかしいですよ。

「もしかしたら、この町の人だけなのかも・・・?」

首を傾げるキーツさん。考え込んでいるのか、無口になった。

「いたっ!」

わたしは声を上げる。こちらを見たキーツさんが、

「すみません。あのときの傷、一応ヘンテ、使ったんですが、もう切れましたか。」

血がたれているのか、手の上に何かたれた。それにしても、ヘンテって?

「ああ、すみません、まじないの言葉ですよ。言葉に魔力があるので、魔力のないわたしがやってもしばらくは効くのですが、切れるのが早いのですよ。」

ヘントか。私は、軽くつぶやく。そのときに限って、声が機械のような声になった。キーツさんが、不思議そうにこっちを見る。ごまかすように、普通の声になるよう注意してヘント、ヘントと繰り返した。

「ああっ、そんなに!やめてください!」

キーツさんが止めようとしたときには、もう、記憶がなくなっていた。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

青の水晶   第八幕 まじないの言葉

言葉を、はとばって間違えたんですよ。まじないのはとば。なんか、すごくないですか?はとば。なんか。

閲覧数:38

投稿日:2011/03/12 21:09:22

文字数:613文字

カテゴリ:小説

クリップボードにコピーしました