んーーーー!
わたしは、思いっきり伸びをする。
「リアさん、ここは気に入りましたか。」
とキーツさんが言う。ふと、何かがおかしいなと思う。なんだろ? あ、「リアさん」がおかしいんだ!
「キーツさん、さんずけで呼んでいただけるのはうれしいですけど、なぜリアですか?わたしはミクですけど・・・」
いっしゅん、キーツさんがぽかんとした。
「リ・・・いえ、ミクさんは前世を覚えていないのですか?」
いやいや、おぼえてるほうがおかしいですよ。
「もしかしたら、この町の人だけなのかも・・・?」
首を傾げるキーツさん。考え込んでいるのか、無口になった。
「いたっ!」
わたしは声を上げる。こちらを見たキーツさんが、
「すみません。あのときの傷、一応ヘンテ、使ったんですが、もう切れましたか。」
血がたれているのか、手の上に何かたれた。それにしても、ヘンテって?
「ああ、すみません、まじないの言葉ですよ。言葉に魔力があるので、魔力のないわたしがやってもしばらくは効くのですが、切れるのが早いのですよ。」
ヘントか。私は、軽くつぶやく。そのときに限って、声が機械のような声になった。キーツさんが、不思議そうにこっちを見る。ごまかすように、普通の声になるよう注意してヘント、ヘントと繰り返した。
「ああっ、そんなに!やめてください!」
キーツさんが止めようとしたときには、もう、記憶がなくなっていた。
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