「…昨日の今日でバタバタしてごめんなさい…それじゃあ、お世話になりました。」
「ねぇ、香玖夜さん、本当に良いの?このまま帰ったら…。」
「良いんです。…助けて貰えて、少しだけでも一緒に居られて夢みたいでした。」
「香玖夜さん…。」
「それじゃあ…皆さんさようなら。」

丁寧にお辞儀をすると香玖夜さんは車に乗り込んで行ってしまった。何か凄く後味悪い…。

「それもこれも全部あの冷血漢のせいだ!見送りにも来ないなんて最低!」
「顔一緒だけどな。」
「詩羽さんは全然優しいもん!」
「あれ、もう行っちゃった?」
「奏先生、はい…ついさっき…どうしたんですか?」
「いや、ちょっと渡す物が…。」
「わ…綺麗…簪?」
「そそ、羽鉦から。」
「お前っ…!それ…!」

明らかに動揺した詩羽さんに奏先生は『しーっ』と指を立てて言葉を遮った。でも何で簪?心なしか2人共面白そうにしてる。何だか疎外感。

「素直じゃないねぇ。」
「ツンデレ?」
「ねぇ、何の話?2人してニヤニヤして。」
「ん~?まぁ、ちょっと、ね。じゃ、俺車で追い掛けて来る。」
「はいよ。」

さっぱり訳が判らなかった。奏先生は駐車場、詩羽さんは中へ戻ってしまう。

「待って~~!わっぷ?!」
「…気を付けろ。」
「む、冷血人間…。」
「はいはい…。」
「ねぇ、あの簪何?2人共教えてくれないんだけど!」
「餞別。」
「本当に?」
「…関係無いだろ、とっとと行け。」

むむむ~~~!何なのよ皆して~~~!!

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BeastSyndrome -74.ツンデレ疑惑-

素直じゃない子

閲覧数:89

投稿日:2010/06/23 18:25:36

文字数:634文字

カテゴリ:小説

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