夜風が隙間から入り込む
無造作に彩られた空白は
きっと違うんだ　いつも見ていたものと

ガラスのような双方の瞳
白い布　手に取って
愛の言葉　ひとつ　囁けば
一瞬で　湧き上がる恋情

髪撫でて　ゆっくりと微笑みを
貴方が許したことだから
いつもと変わった事でもいいでしょう
空っぽなキスをください

宵闇に体中　蝕まれ
猿芝居によく似た感情は
やっと惑うんだ　愛苦しかったものが

「フィクションでもいい」と泣いた
鮮やかな　花に酔って
恋の数を　ふたつ　呟けば
一瞬が　冷めていく愛情

線なぞる　指の腹に熱こもる
誰も許したとは言わないの
いつもと変わった事でもいいよ
満ちたキスをください

その布外し　ちゃんと見つめて
貴方の存在を許すから
繋がれた鎖も　縛られた首も
気にしないから
空っぽなキスをください
満ちたキスをください