同棲してた彼の留守中。私はこっそり彼の部屋に忍び込んだ。机の上には一冊のノート。私はそれが彼の日記帳であることを知っている。「無防備に置いてある方が悪いんだからね」私は言い訳がましくそう独り言を言うとそのノートをはらりとめくった。『○月○日。今日は彼女と買い物に出掛けた。そろそろ暑くなる季節。俺は際どいかつ可愛い水着を彼女に薦めた。始めは恥ずかしがってた彼女も俺の押しに根負けしたのか、その水着を買って海水浴のデートの時は着てくれた。照れたように恥じらう彼女は可愛かった』「もう!あんなにしつこく薦めてくるんだもん。着るしかないじゃん。...可愛いって言われるのは嬉しいけど」ドキドキしながら、次のページをパラパラとめくる。『○月○日。彼女が俺が気に入ってたCDを落として割ってしまった。カチンときたから、一日中口をきかなかった』「嘘だ!2、3日口きかなかったくせに」私も少しイライラしながらまたページをパラパラとめくる。『○月○日。明日は彼女の誕生日だ。今からプレゼントを買いに行く。何が良いか悩む。とりあえず街に出ようと思う。彼女がどんな反応をするのか楽しみだ』「プレゼントなんて要らないから...」私はそう呟いて、彼の写真を見た。「私の元へ帰ってきてよ...」涙が溢れる。その彼の写真は遺影だった。私への誕生日プレゼントを買いに行って彼は交通事故に遭い、もう2度と私のところへ帰らぬ人となったのだ。

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彼の日記

超短編です。隙間時間に読めますよ。果たして、これを小説と呼べるのか疑問ですが...。なお、内容はフィクションです。

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投稿日:2017/01/03 17:49:00

文字数:603文字

カテゴリ:その他

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