「好きだよ、大好きだよ
きみに知り合えて本当に良かった
一人だけで見上げた煙突の先も
きみを知った今なら怖くはないから
ありがとう、大好き、……さよなら」

初めて出逢った時のことを僕はまだ覚えてる
屋上へと続く立ち入り禁止の階段
その踊り場の窓に貴方は腰掛けて微笑んでいた
真新しい教科書を抱えて逃げ出していた僕を
貴方は何も言わずに受け入れてくれた

風のように涼やかな腕
長い髪がけぶるように舞って
春の桜色と一緒に僕の心を攫っていった
透けた貴方の全ても気にならなかった

その後僕は貴方の場所に良く通ったよね
いつでも貴方は微笑んで僕の話を聞いてくれた
ゴールデンウィークに行った山の話も
貴方といつか行きたかった遠い海の話も
ただずっと微笑んで頷いていてくれた

ねえ多分もうその頃には
貴方は覚悟を決めていたんだろう
初夏の緑が窓から見えるようになって
僕は少しだけ大人になってしまったから

憂鬱なプールが始まってしまって
でもそこからは貴方が見えて手を振ってくれていた
クロールも平泳ぎもできなかった僕は
貴方が見てくれてるから泳げていたのかも
その時はとても幸せで嬉しかったんだ

七夕の日に笹を持っていった僕に
貴方は初めて転げるように笑ってくれた
星祭の日は珍しく天の川が見えて
二人分の願い事を僕は短冊に書いたよ

「ずっと、ずっと一緒にいたい」

夏休みが始まって
校舎には貴方と僕二人きり
僕の身長はいつの間にか
踊り場の窓に手が届くようになっていた
そして僕は初めて貴方に手を伸ばして貴方も
「好きだよ」
そう囁いてくれたけど

僕は
哀しくて
泣いてしまった

さよなら夏の美しい思い出よ
僕は貴方と居られて貴方を知れて貴方の思いに触れて
とても幸せで嬉しくて寂しくて哀しくて楽しかった
笑顔でさよならなんていわないでくれ!

もっと貴方が泣き喚いてくれたら
僕だって貴方を泣き喚いて引き止められたのに
一人でそうするには僕は大人になってしまったんだ
でも貴方はきっと僕の心なんてお見通しだったよね

次の日屋上へ続く立ち入り禁止の階段から
貴方は居なくなってしまっていた
窓から空を見上げれば
一筋の飛行機雲が太陽へ向かっていた

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

さよならと言った次の日に君はいつもの場所から居なくなった

タイトルなげえwww元々歌詞じゃなくて抒情詩みたいなノリで書いたもの。まあ切り貼り素材とかそんな感じで使ってください。作品の基本スタンスについてはプロフ参照で。

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投稿日:2008/11/29 19:09:38

文字数:932文字

カテゴリ:歌詞

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