詩羽さんが研究班を収集していた。また、あの実験をやるのだろう。この世の終わりの様な声が耳に甦って、まだ少し怖い…。
「スズミさん、あの…。」
「木徒ちゃん、どうしたの?」
「研究班収集されてるみたい…だから、その…。」
「うん…判った、じゃあリヌちゃん見ててくれるかな?私…行くから、」
スズミさんは言い掛けて詰まった私に優しく笑いかけた。スズミさんは平気なのかな?私だってまだ怖いのに、それともやっぱり覚えてないから…?
ドアを開けようとしたスズミさんはドアの前で立ち止まって、手をギュッと胸の辺りで握り締めた。顔が少し青ざめて、握る手はカタカタ震えていた。
「スズミさん?」
「大丈夫…大丈夫…。」
「やっぱり…怖い?」
「…木徒ちゃん、私ね…自分が恋人を忘れてるって聞いた時、ショックだったのと
同じ位嬉しかったの。…騎士は私をずっと守ってくれた。あんな目に遭っても、
忘れられても、私の側に居てくれた。それがとても嬉しかった。」
「うん…。」
「記憶は無くしても、私の身体は覚えてるから…騎士の事全部。」
「かっ、身体?!」
「えっ?!あ…えっと…変な意味じゃ無い…よ…うん…。」
耳まで真っ赤になったスズミさんは逃げる様に出て行った。変な事聞いちゃったかも…。でも身体って、やっぱりそう言う意味だよね?わわわ…どうしよう、何かドキドキして来た…。
「木徒?」
「きゃあっ?!」
「きゃあって…、ん?どうした?顔赤いぞ?熱…は無いみたいだな。」
「―――やっ!!」
「痛っ…!」
あ…どどど、どうしよう!思いっ切りひっぱたいちゃった…!怒ってる…絶対怒ってる。でもうるさい位心臓がバクバクしてて飛び出しそうだよ…!
「ご、ごめんなさい!」
訳が判らなくなって一目散にその場を走り去った。何で?何で?!私おかしいよ、もう絶対おかしい…!あの位いつも平気だったじゃない…キスだってしたのに…なのに…!
「――っ!!」
「…捕まえた…。」
何でこんなに怖いの…?!
BeastSyndrome -64.意識-
グーじゃなくパーです
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