「晶さんネット見れます? こっちは全く繋がらないです」
「無理だね」
「混雑してるんですかね」
「どうだろう…とりあえずテレビも電話もインターネットもダメになった、というわけでまるで孤島にいるみたいだね」
孤島。
陸地や他の島から遠く離れて1つだけそこにある島。
確かにそうかもしれないと思った。
いつもならこの手に握っている携帯電話を使えばすぐに誰かに電話やメールをすることができた。
地球の反対側にいる人間とだってこの瞬間にメッセージをやり取りすることができた。
けれど今はどうだろう、言葉を交わすには直接会うか手紙を送り合うしかない。
おまけにテレビもそしてラジオもまともに放送されていないし、この調子だと新聞の発行もどうなっているのかわからない…そうなると例えば隣の市で何か大変な出来事が起こっていてもそれを知ることが難しくなる。
これからいったいどうなっていくんだろう。
憶測だが、少なくない数の人間が少女になってしまっている。
もし、このまま未来や親父や少女になってしまった人たちがもとの姿に戻らなかったら。
もし、これからも人間がどんどん少女に変わっていったら。
もし、世界中の人間が少女になってしまったら。
「悟くん、これ見た?」
晶さんが急に立ち止まり携帯電話を差し出してきた。
こちらもそれにあわせて歩くのを止め、促されるままに彼女の手に握られていた携帯電話を受け取った。
その携帯電話の画面にはある動画が流れていた。
「それ海外のニュース番組の映像だよ、たぶん今から5時間くらい前に放送されたものかな」
司会台のところに濃いグレーのスーツを着た30代くらいにみえる白人女性が立っていて何かを話している。
肩まである栗色の髪に琥珀色っぽい瞳、標準的な体型の大人の女性だ。
背後にある大型の画面にはどこかの朝の街角の風景が映っていてそこには白のダウンジャケットを着た短い金髪の若い白人男性が立っている。
「それをずっと見てて、目を離しちゃダメだよ」
そのニュース番組の映像には変わったところはない。
日本語じゃないし字幕もないからどんな内容のものを伝えているのかわからないが、緊迫した雰囲気はない。
中継先のリポーターと笑顔で会話している。
これがなんなのか、人が少女になってしまうとかそういうことを伝えているようにはみえない。
天気を伝えるライブ中継、といった感じだ。
【小説】俺と70億の鏡音リンちゃんと激しく降りそそぐ流星群(21)
ある日、突然、世界中の99.9999%の人間が少女(鏡音リンちゃん)になってしまった。
姿も声もDNAも全て同じ、違うのはそれぞれが持つ記憶だけ。
混乱に陥る人間社会の中で、姿が変わらなかった数少ない人間の1人・佐藤悟は…というお話。
なお、携帯電話で見ることを前提としているので、独特の文体で書いています。
『文の終わりに改行』
『段落ごとに一行空ける』
そのため、段落の一字下げなどは省いています。
見難くなっていたら、すいません。
意見があれば見直します。
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ご意見・ご感想
wanita
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お久しぶりです(^-^)/久方ぶりにピアプロに来たら続きが増えていて嬉しいです☆
「引き」がいつも上手いですね!目を離さないでいると…どうなる!?とドキドキします。
私も「目を離さないで」いようかと♪
2011/11/09 19:30:28
リンちゃんの使い魔
お久しぶりです。^
いつも感想ありがとうございます。m(__)m
未熟な作品に付き合っていただいて…。
感謝!
2011/11/09 22:41:49