said 光輝
俺は次の日、スリちゃんに会いにまたバラ園に行った。
「スリちゃん~♪その~キラキラした瞳~♪全て~♪俺の~♪心をノックout!」
スリちゃんテーマソングも完璧。
俺がベンチに座っていると、いつものようにスリちゃんがやって来た。
「スリちゃん!元気?」
俺はスリちゃんを抱き、高い高いをしてやった…。
said 久太
俺は物陰に隠れ、光輝の様子を見守る。謎の歌は聞かなかったことにしてあげよう。(スリちゃんソング)
実は今光輝が抱いている猫は、スリちゃんじゃない。スリちゃんそっくりの猫を見つけ、光輝のところに向かわせたのだ。
ちなみに本物のスリちゃんは、俺の隣にいる。かなり人に慣れてるのか、すごく大人しい。
「スリちゃん、おいで。」
俺はスリちゃんを抱き抱え、顔を光輝のいる方へ向けた。
きっと今、スリちゃんの目には、他のメスとイチャイチャしている光輝が映っていることだろう。
「見てスリちゃん…あいつ…君の事をあんなに愛してると言っておいて…他のメスとイチャイチャしてるよ?いけない男だよね…?」
俺は優しくスリちゃんに話しかける。
そして、堕とす。
「光輝はいけない男だね…じゃあどうしたらいいかなんて…決まっているだろ…?あいつの顔をふためとみられない程にしてやらないと…ね?」
スリちゃんの表情は、さっきと全く違った。今はもう、怒りに満ちている…。
そろそろいいだろう。俺はスリちゃんを連れて、光輝のところに行く。
「光輝~?スリちゃん来たよ~?」
光輝はピタリと動きを止める。
「は、何いってるんだよ、スリちゃんここに…。」
光輝が本物のスリちゃんを見る。そして、さっきまで一緒に遊んでいた偽物スリちゃんと何度も見比べる。
「…この子…スリちゃんじゃない…。」
やっと気づいたようだ。
本物のスリちゃんは光輝に威嚇している。
「あ…スリちゃん違うんだ。これはな…その…ただのスキンシップで…って痛い痛い痛い痛い痛い痛い!」
本物のスリちゃんは光輝の顔を二、三回引っ掻き、バラ園を出て行く。
「スリちゃん!!!!」
…光輝はその場にがっくりと膝をついた。しかしすぐに立ち上がり、スリちゃんが出ていった方向へ歩き始める。
「ちょ…どこ行くの。」
光輝は引っ掻き傷を指でなぞり、笑った。
「謝りに行くんだよ!…知ってるか、久太…。」
ああ、これは迷言誕生の予兆だ。
「男女の喧嘩は…男が謝るのが鉄則なんだぜ…?」
…………………。
正確に言えば…男とメスなんだけどね。
次の日、光輝の顔に引っ掻き傷が増えていたことは言うまでもない…。
END
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