病院の消毒臭い匂いってどうも慣れない。そもそも病院嫌いだし、良い思い出も無いし、注射とか痛いイメージばっかり。
「あーあ…面倒臭いなぁ…。そもそもハレルは大袈裟なんだよ、ちょっとの怪我で病院
行けなんてさ。」
「得体の知れない化け物に襲われたのに放置して置く方が危険だ。何も無いならそれで
構わない。」
「はーいはい。」
昨日街で遊んでいたらデッカイカバみたいな化け物が大暴れしてた。面白そうだから見てたらカバの投げた木材が腕に当たって怪我をした。それだけなのに家に帰ったら手当てだ病院だと騒がれて結局病院に連れて来られた。受付で待ってるのも退屈だし、こう言う時は探検探検っと…。
「…お見舞い行かなくて良いの?」
「行ける訳無いだろ…。」
「話聞いたけどゼロのせいじゃないよ。事故だってその子も言ってたんでしょ?」
「そうかも知れないけど…!」
んん?!これはいきなり深刻そうな話?ヤダなぁこう言うの。辛気臭いって言うか、ぶっちゃけ暗いって言うか?まぁ、病院なんて明るい話題より暗い方が多いかなぁ。
「ねぇ、もう帰ろう?ゼロが倒れちゃうよ。気晴らしにどっか行ってみたりとか…。」
「行かない…。」
「ゼロ…!」
何あの二人?恋人?似てるから姉弟かな?交通事故であの男の方が加害者って感じかな?それできっとお見舞いに来たけど追い返されたんだ。うんうん、我ながら名推理。ここはいっちょヤクルちゃんの出番かも?
「待ってて、何か飲み物買って来るから。」
「…………………。」
「おにーさん。」
「…はい?」
「なーんか死相が出てるよ?何やったか知らないけど、そんな顔してたら不幸になるよ?」
「…向こうへ行ってくれないか?」
「む?ヤクルちゃんをないがしろにするとか有り得…。」
「放っといてくれ!」
怒鳴り声に周りがシンとなった。そんなに怒る事無いのに…冗談通じないお兄さんだなぁ。
「ゼロ…?」
「帰る…。」
「待って…!ねぇゼロ…!」
取り付く島も無いや、誰か死んじゃったのかな?もしくは不治の病とか?まぁ考えても仕方無いか~。
「つまんないのー…わっ?!」
「ああ、ごめんなさい。」
わわっ?!何か今度は真っ黒で目が死んでる人発見!!こう言う人ってヤクルちゃん苦手なんだよね…。
「ねぇ、君。」
「ひぃっ…!な、何でしょう?」
「聞きたい事があるんだけど…。」
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