幸宏は更に慎重に、辺りを見渡す。すると木箱とビール箱が積まれている所に、ぐったりと座り込んでいる人影を見つけた。
「な、なんだ一体?」
彼は街灯に照らされる人影に目を凝らす。見れば緑髪の乙女ではないか。負傷した兵士のようにぐったりとしていて、今にも虫の息となりかけている。
「こ、これは大変だ」
幸宏はすぐに彼女を抱えて自宅マンションへと走る。
〇 〇 〇
「う、うぁ…………」
緑髪の彼女は、照明の白光の刺激により目を覚ます。眼前に広がる純白の光景は、虚無に満ちているかのように静寂である。なにせテレビもつけていないのだから尚更である。彼女はゆっくりと、静寂さの中から身体を起こした。
「…………此処は?」
見渡す限り、きちんと整理されている部屋である。
白い壁、マホガニィカラーの収納棚にYAMAHA製のショルキー、BurnyのチェリーレッドカラーのSGギター、そしてパソコンとミキサー、シンセサイザが置かれているPCデスク。そして彼女を先刻まで眠らせていたベッド。フローリングの床には何一つゴミも綿ぼこりも無い。
「静かな、部屋」
瞼を半開きに辺りを見渡す彼女。あまりの静寂さに不思議な感覚を胸襟に孕ませる。
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