12月24日 夜勤 配達作業
老人「さあ、出発じゃ。ミク、引っ張ってくれ」
ミク「よーいしょっ、よいしょ、よいしょ、しょっ、しょっ・・。」
ミク「マスター、 マスターってボーカロイドの使い方が間違って
いるような気がするんですけど。」
老人「気のせいじゃろう? ボーカロイドは人々に喜びを与える
のが役目じゃから、あながち間違いでもあるまい。」
ミク「そう言われれば、確かにそうかも知れないですけど・・。」
老人「それに、お前の目は光るから、暗い夜道で役に立つんじゃ。」
・・ シャン シャン シャン シャン シャン シャン ・・・
老人「さあ、ついたぞ。ここから登って・・」
警官「夜分、すみませんが・・。」
ミク「あ、おまわりさんだ。こんばんわ。」
老人「おお、夜分ご苦労さんです。」
警官「どうも。作業許可証を拝見させていただきたいのですが。」
老人「作業許可証ならここに・・あれ? あれ?」 アタフタ
ミク「それなら、腹巻の中ですよ。絶対に無くさないようにって。」
老人「おお、そうじゃった・・。これがワシらの許可証じゃ。」
警官「拝見いたします。・・正規の許可証ですね。お返しいたします。
近年、あなた方と同じ格好で盗みを働く悪い輩が増えて
おりますので・・・。それでは、お気をつけて・・。」
老人「ああ、どうも。 ・・・物騒な世の中になったものじゃな。」
ミク「ほんとですね。」
老人「さあ、始めるか。ここから登って・・
あれ、こんな煙突、簡単に登れたはずじゃが・・。」
ミク「マスター、もう歳なんだから無茶しないで下さい。
この、でっかい袋は私が持ちますから。
ぎっくり腰とか、転落して骨折とかしないで下さいよ。」
老人「すまんなぁ、ミク。」
ミク「マスター、こういう配達作業は、若い者にまかせればいいんじゃ
ないですか?その歳なら誰も文句言わないと思うわ。」
老人「仕事仲間の若い者といっても、還暦は過ぎているからなあ。」
ミク「・・みんな赤い服着てますしね・・。」
老人「よし、この家は済んだ。あの子供、かわいい寝顔じゃったな。
次へいくか。 よいしょっと・・」 ズルッ、ステーン
老人「いたたたた・・」
ミク「マスター!!」
ミク「ほーら、言わんこっちゃない・・・。」
老人「すまなかった・・・。ミク、あの後、配達作業はどうなった?」
ミク「マスターを夜間救急病院に入れた後、なんとか朝までに
済ませました。」
老人「そうじゃったか・・。すまなかった。」
ミク「私は、用事があるので、これで失礼します。
もし急用があったら、これ押して下さい。すぐ来ますから。
手の所にマウスを置いておきますので。」
老人「・・・・・」
ミク「・・・・もう、プレゼント配るのは引退して、クリスマスソング
作ってればいいのよ! ・・私が・・唄うから・・。」
ミク「そういえば、マスター、老後の対策に備えてボーカロイドを
導入したとか言ってませんでした?」
老人「・・んー・・そうじゃったかなあ・・。」
ミク「とにかく、ボケるのだけは勘弁してくださいよ。」
--数年後 ある老人ホーム--
職員「三田さん、よくパソコンを使われてますけど、何されてるんですか?」
老人「これじゃよ。ワシにとっては、ボケ防止に丁度いいと思っとる」
職員「あ!これって! すごーい!!」
老人「ワシが作った歌を、かわいいミクちゃんが歌ってくれるぞ。
ボーカロイド、良いものじゃのう。 はっはっは」
若手職員A「三田さんって誰かに似てると思わない?」
若手職員B「白くて長い髭、丸っこい体・・もしかしてサンタクロース?」
若手職員A「苗字が三田だけに・・・」
若手職員B「そんなギャグ、オヤジでも言わないよ・・」
若手職員A「本当にサンタクロースだったりして」
若手職員B「まさか。サンタクロースが日本の老人ホームに居るわけないよ」
老人「今年のクリスマスソングはこんな感じじゃ」
ミク「マスター、出来たんですか!! 早く歌わせて!」
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