愛玩少女は空を飛ぶ
夢を見た人の空をゆく
滑るように進んでいく
あなたの空にも表れる

愛玩少女は雲を切る
毎回溢れる入道雲の肩を削ぐ
雨が降り落ちる前に


冷静かな
『うん』

元気かな？
『うん』

ちゃんと私は暮らせているかな

『うん』



又聞きの今日も少し晴れた空にくゆる香
こわがるばかりだ
『うん』

明日なんていつも「つらい」「いやだ」
苦しい心を押し殺してくの
『うん』

「キミら」だって今日も、わたし、きのう、全て忘れて
いつも通りでしょ？
『うん』

でもまぁ、前を向くよ
こんなナリでも私、生きてるの
『うん』




愛玩私がひた走る
慰め方はよく知らない
自分のためには泣けないけれど
誰かのためにも笑えない

アイアン私がやってくる
夢見た私の空をゆく
壁だって壊せる
はずだった



死んでないかな
『うん』

死んでるって言われないかな

「生きてる」って言っていいのかな

『うん』





愛玩少女に預けた気持ち
とりとめのない私の毒
くだらなすぎて私を殺せるほどの毒

愛玩私が飲み下すもの
あとになってあなたに吐き出すもの
私だって辛いもの

でもなくすのは、ちがうよな

でも捨てちゃうのは。ちがうよな





『明日なんていつも「こわい」』
『いやなこころまとめて返してほしいでしょ』
うん

『「さよなら」っていつもなんでわたししか言わないの』
『もっとちゃんとしてよ』
うん

苦し紛れなんだ、いつも
生きていく限りそんなもんらしいよ
『うん』

でも、だって、違うよ
わたし、あなた、こころ震えた
いつかを知るんだよ




私だって今日も、あなた、きのう、すべて忘れて
いつも通りなの
『うん』

だから前を向くの
いつもこんな言葉でわたし生きてるの
『うん』


『うん』