「アメジスト様」
「あ、エリム。久し振りだね」
「ふふ、アメジスト様が呼んで下されば何時だって姿を見せますのに」
「ま、それはシークとノグアも同じだろうけどね」
「そりゃそうですよ。あたしには分かります。だってあたし達は同じ卵から生まれでたモノ達ですから」
「そうだね」
「所でアメジスト様、“時を司りし者”に会いましたね?」
「んあ? うん、だけど其れが何か?」
「いいえ、別に。何となく思い出しただけなので。気にしないで下さい」
「・・・エリムがそう言うのなら」
「はは、不満たらたらですねアメジスト様」
「ま、別に良いんだけどね」
「・・・」
「ね、そう言えばさ、エリム」
「? 何ですか?」
「何でニンゲンってさ、年を取りたがらないのかな?」
「さぁ・・・。あたし達の場合は年を取っても今と姿は変わりませんからね。何年経っても。現にあたしだってシークだってノグアだって、ニンゲン達よりも遥かに先にこの世界にいたけれど、姿は変わってないし。アメジスト様はまだ、この空間では三千年しか生きてないけれど、殆ど姿変わってませんしね。・・・アメジスト様と金剛様、真珠様の場合、まだ生まれてから三千年しか経ってないのであたし達から見たらまだ子供です。だからアメジスト様とか・・・金剛様に真珠様はまだ成長、と言うのをすると思うんですよね・・・。現に百年後のアメジスト様は身長も伸びていますし」
「確かに。あたし達は変わらない。でもあたし達三つ子はまだ貴方達に比べたら生の歴史が凄く浅い。だから未来のあたしも身長が伸びてるし、少しだけど、大人になってる。・・・。だからかな」
「え?」
「ニンゲンは自分達の身体、表面上の変化を恐れてるんじゃないの? だからこそ、変わる事を―――年を取る事を恐れてるんじゃないのかな? 昔出来た事が出来なくなるのを怖がってる。だから年を取りたがらないんだ、てあたしの母さんは言ってたけどね。あたしは違うな。今の自分にしがみ付いていたいから、過去の自分に縋ってるから、変わりたくないんだと思う。結局、ニンゲンなんて弱い生き物なんだよ」
「強い生き物なんて、この世にはいませんよ。そう言ったのはアメジスト様じゃないですか。・・・まぁ、そう言いたくなる気持も分からなくないですけど。あたしは全てのニンゲンの感情があたしの感情です。同じ様にあたしの感情がニンゲン達の感情です。最近、前に比べて“悲しい”“寂しい”“怖い”“恐い”“信じたくない”“ニンゲンなんか嫌いだ”・・・・・・・・・・・・そんな気持が増えてきたと思う。あ、思います」
「別に無理して敬語使わなくて良いよ。あたしが“全てを造りしモノ”から生まれたからであろうとそんな事は関係ない。“全てを造りしモノ”は“全てを造りしモノ”で、あたしはあたしだ」
「・・・はい。でも、そういう風に考えてるニンゲンに限って自分から行動するのを嫌ってるのよね」
「自分が変わりたくないからこそ、そういう風に考えて逃げる・・・か。やりそうな手口だ」
「でも、ニンゲンなんて直ぐには変われませんよ。ずっとニンゲンの心と繋がってたあたし、ううん、シークやノグアでも分かると思う。ニンゲンは、過ちをずっと繰り返してる。同じ事を繰り返す。もう充分学習したはずなのにそれでも懲りないでまた同じ過ちを繰り返す・・・。あたし達の力を狙って捕らえた奴と一緒だわ」
「ま、そういうもんだからしょうがないよ」
「それでも、信じてみたいものですけど・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「アメジスト様は極度のニンゲン嫌いですからね」
「嫌いじゃないよ」
「え?」
「その前に超と大が幾つ付いても足りない位嫌いだよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「でも、その気持は分からないでもないけどね」
「え? アメジスト様、今なんて言いました?」
「さーて、シークとノグアにも会いに行こうかな~」
「アメジスト様ぁ!」
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