「・・・・今年に入って、2回目」
「何がですか?」
パフェ対決の結果を見届けた僕とマスターは、人通りから少し離れた川のほとりにいた。
「夏祭りだよ」
「夏祭り・・・ですか」
「花火は無かったけど、なかなか良かったよ」
「・・・この祭りは、どうですか?」
僕は、なんとなく話を逸らす。・・・ついでに、目も逸らす。
「そういえば、この祭りって、花火あがるよね? この世界の花火って、見たこと無いから楽しみだなー」
「あれ? 去年、見ませんでしたっけ?」
「去年は、花火見てないや・・・。用事とかも、あったし」
「あ、そうでした? じゃあ、マスターにとって、今から打ちあがる花火が今年初なんですね♪」
「・・・そうだけど、・・・。・・・何で、そんなに嬉しそうなの?」
「・・・・こっちの話ですw」
花火は、人と人を繋ぐ。だとしたら・・・。
「まだ、諦めてません」
「何が?」
「・・・マスターのことです」
「え?」
「うかうかしてると、寝取りますよ」
「・・・・誰を?」
「だから・・・」
その時、花火がすごい音を立てて、夜空に打ちあがった。雲1つ無い夜の空に、花火が盛大に咲く。
「・・・わあ、きれい」
「マスターの方がきれいと思いますよ、僕的には」
花火に見とれるマスターに、しれーっと呟く僕。
「・・・なんか言った? カイト」
「いえ、何も」
やっぱり恥ずかしくなった僕は、次々と花火が咲く夜空を見上げる。
「マスター、1つお願いが」
そのまま、僕はマスターに言う。
「何?」
「・・・・この世界に、残って下さい、マスター」
「えっ・・・」
花火に照らされたマスターの顔が、驚いたような気がした。
「元の世界なんかよりも、この世界の方が、絶対楽しいです! みんなもいるし・・・僕が、います」
「・・・・」
マスターは恐らく、言葉を探している。・・・断るための言葉。だけど、
「嬉しい、カイト。そんな言葉、言ってくれるなんて、・・・ありがとね」
僕は思わずマスターを見る。・・・マスターは笑顔で、僕を見つめ返す。
「・・・・・・・・・・でも、やっぱり元の世界に帰らなきゃ。また、ここへは来るから・・・寂しくないでしょ?」
「じゃあ、夜。それと、朝」
「昼は?」
「昼は・・・いいです。どうせ、会うんですよね?」
「・・・話できたら、そう言える」
「だから、朝と夜。特に夜は、僕が添い寝してあげますから、「・・・夜、くったくたなんだから、ちゃんと寝かせてよね」
僕の言葉に、マスターは苦笑いして言って、夜空を見上げた。僕も見上げる。夜空には、大輪花火が打ちあがって、咲いていた。

「・・・ジミさん」
その頃、人通りを抜け出してきていたミドリは、隣にいるジミを見た。
「何ですか、ミドリさん」
「えっ、い、いや、その・・・」
ミドリは、やっぱり目を逸らして、
「・・・花火が、きれいだなと思って。ただそれだけです」
やっぱり当たり障りのないことを言った。
「そうですね。・・・実は、花火見るの私、これが初めてなんです」
「そうなんですか」
「ミドリさんと、花火見られて良かったです」
「え?」
「・・・何でもないです、何でも」
そう言って、ジミは嬉しそうに、花火が次々と咲く夜空を眺めていたのだった。

「あ、花火」
買ったわたがしをおいしそうにパクついていたモコは、すっかり暗くなった空を見上げて呟いた。
「ずっと前から、花火打ちあがってたんだけどな、モコ」
「だっ、だって、ここ騒がしいから、気づかなかったんです」
苦笑しながら言うアカイトに、モコはツンっとして返事する。
「そういうことにしておくか。そうか、今年の花火はモコと、か。来年は誰と見るんだろうなー」
「・・・そんなの、決まってます」
「ん? モコ、どういう意味?」
「・・・・・・・やっぱ、何でもないです。アカイトさんのすっとこどっこい!」
モコはそう叫ぶと、アカイトを置いてさっさと歩いていってしまう。
「あ、ちょ、待てよ、モコ」
「いーえ、待ちません。・・・もっとも、」
モコはアカイトを振り返り、
「りんごあめを買ってくれるなら、いいですよ?」
にっこりと、わたがし片手に言うモコに、
「なっ・・・! 今度は、わたがしかよ! 焼きそば、クレープ、はし巻きと続き、・・・全く。お前は一体何個食えば満足するんだよ」
「・・・だって、このお祭りは、これ1回きりですから、屋台全制覇したくって・・・。だめですか、アカイトさん・・・?」
「あー、分かったから。そんなに泣きそうな目でこっち見るのはやめろ」
「ありがとうございます♪」
わーいと喜ぶモコに、アカイトは、これでいっかと思うことにしたのだった。

「ダッツさんは、お祭り行ったことあります?」
「俺はあんまり。・・・リアさんは?」
「私も全然です」
「そうなんだ」
「だから、すっごく楽しい♪ うーうー!」
「そっか、ウサちゃん楽しーか」
「うん! 鹿並みに楽しい!」
「鹿・・・?」
「もう、ウサ、変なこと言っちゃだめでしょ? ・・・すみません、ダッツさん。この子ったら・・・」
「私、お魚のたらじゃないよー、うー」
「俺的には、俺の妹より可愛いと思いますよ。それと、ウサちゃんは、ただ単に、ダジャレとか言葉遊びが好きなだけと思いますよ」
「はっはっはー! ウサはダジャレ好きー、うーうー!!」
ウサは、手に持ったうさぎのぬいぐるみを振り回して、ダッツに言った。
「ほら」
「あら、ほんとですね」
リアは、一瞬目を丸くさせた後、苦笑いをして言ったのだった。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【亜種コラボ小説・長編】 パフェ対決の後は夏祭りに花火を添えてまだまだパーティは続いて 【カット編】

こんにちは、もごもご犬ですこんばんは!
これで、一応未投稿分は全部終わりました!
あとは、新しいエピソードを投稿するだけです!
ですが、まだほんの少ししか考えてないため、完成するのは相当後になりそうです><
その間に、マスカイやアリスと執事の話などなどを、投稿していきたいと思います!
お楽しみに!^^

閲覧数:70

投稿日:2010/09/20 11:49:14

文字数:2,290文字

カテゴリ:小説

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