出会い ―R―

 
あたしはレンがアンインストールされてから一度も部屋を出ていない。
テイ姉さんがアンインストールされても部屋からは出ていなかった。
なぜか怖い。
安心できない。
落ち着くことができない。
そして、さびしい。
 
「リンちゃん、レッスン参加しないの?」
 
ルカ姉がドアをノックする。
鍵をかけているので開けることはできない。
 
「…」
「…はぁ。気が向いたらおいでね」
 
そういうと足音は遠ざかっていった。
 
あたしはネギ抱き枕を抱きかかえ、パソコンを立ち上げた。
最近、アンインストールについて調べているが、手順しか載っておらず、再生させる方法などは全く載っていない。
 
「あれ?」
 
時計のところが『28:71』となっている。
 
「28時?壊れちゃったのかなぁ」
 
時計のところをダブルクリックする。
動かない。
カチカチッ、カチカチッ、カチカチッ…。
 
すると、突然真っ白な光にあたり一面が包まれた。
まぶしくて目をつぶる。

 
目を開ける。

「やっぱり、壊れちゃってたのか…な?って、え!?誰?」
 
顔をあげると私に似ているような、レンに似ているような…。
そんな男の子の顔が目の前に現れた。

「驚いてんのはこっちだっての。お前が勝手に出現したんだろ。お前こそ誰だよ」
「えーと、あたしは鏡音リン。君は?」
「奇遇だな。俺は鏡音リント。名前そっくりじゃねえか」
「ほんとだね」
 
部屋を見渡す。
あたしの部屋のつくりにそっくりだが、すべてが反転している。
 
時計を見る。
 
「え…?数字が全部反転してる…」
「は?これが普通だろ。…あ!」
「何?」
「お前、もしかして現実世界の俺?」
「え…?」

現実世界?私とリント君は同一人物?
そして、そのリント君は『なるほどな』と、一人で納得している。
 
「ここの世界は反転世界っていって、時間と鏡の裏の世界なんだ。で、リン達の世界が表の世界」
「うーん…。分かるような、分からないような…」
「ていうか、反転世界の存在を知らなかったのか?」
「現実世界の人たちは基本的に知らないと思う」
「ふーん、そうか。…あのさ」
「ん?」
「双子の兄弟っている?」
「いるよ。レンっていう双子の弟がいる」
「失礼かもしれないけど、そいつってアンインストールされた?」
「……うん」
「そうか。ゴメン」
「いいよ別に。それがどうかしたの?」
「帰ってきてほしいって思わないか?」
「思うよ。当たり前じゃない」
「協力してくれないか?」
「ぜひ!協力させて!!」
 


裏側の世界であたしは希望を見つけた。
 
  
 

次回に続きます。
 

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

家族の消失 ―鏡音編③―

今回も亜種が出てきます。
 
苦手な方はお引き取りください。
 
 
もう、完全に(ry


 初音ミクの消失
http://www.nicovideo.jp/watch/sm2937784

この小説の土台、および参考にさせていただいております。

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投稿日:2012/04/07 15:09:31

文字数:1,118文字

カテゴリ:小説

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