「何か走ったら疲れちゃった。ねぇ、寝れる場所無い?」
「図々しいにも程があるだろ!クソガキ!」
「何よスケベジジィのクセに!さっきの先生見習ってよ!超優しかったんだから!」
本当にぶん殴るんじゃないかハラハラしながら2人を見る。う~ん、奏先生戻って来て欲しいなぁ、正直これ以上は止める自信が無い。と、思った矢先奏先生がひょっこり現れた。やった!天の助け!
「えっと、工音木徒ちゃん、だっけ?今日の所は付き添い用の仮眠室しか空けられ
ないんだけど良いかな?」
「良いです良いです!やっぱり超優しいですね~。」
「おい、騎士!」
「放り出す訳には行かないだろ…それに…多分そこら辺で見てるんじゃないの?
挨拶はお前に任せるよ。」
見てる?挨拶?いまいち全部は汲み取れなかったけど、取り敢えず今日は様子を見る、と言うことで落ち着いたみたいだ。何も起こらないと良いけど…。
――そして翌日…。
「誰か―!!そいつ捕まえろ――!!」
「おい誰かチーターのBS呼んで来い!!」
「ああぁ~!!朝食用のフルーツが~~!!」
施設のあっちこっちで悲鳴と怒声が上がっていた。木徒ちゃんはまるで台風みたいに大暴れしてるらしい。対応に追われてでもいるんだろうか、今朝から奏先生も羽鉦さんも姿を見せない。けど、あの子何が目的なんだろ?こんなに暴れたら追い出されちゃったりしないのかな?
「わ~~~っっとととと!匿ってぇ~!!」
「えっ?!きゃあっ?!」
いきなり部屋に件の木徒ちゃんが飛び込んで来た。流石にスタッフに追い掛け回されたみたいだ。このままじゃ良くないよね?ちゃんと止めさせないと…。
「ねぇ、木徒ちゃん、あんまり悪戯すると本当に追い出されちゃうよ?」
「良いよ、それでも。てか、その為にやってるんだもん。」
「え?…追い出される為?」
「追い出されれば使土お兄ちゃんだって諦めるかな~って。」
そっか、判った。この子…お兄ちゃんの所に戻りたくて…でもどうやって戻れば良いか判らなくて、追い出されれば会えると思ってこんな事…。
「あの、木徒ちゃん、それは違…。」
「残念だったな、クソガキ。お兄ちゃんなら迎えに来ないぞ?」
「羽鉦さん…奏先生も。」
「なっ…!嘘!嘘だよ!お兄ちゃんが私の事見捨てる筈無い!一人にする筈無い!
信じないから!皆、皆、嘘吐きばっかりなんだ!」
「嘘じゃない、工音使土君の依頼で君の事は【Yggdrasil】で保護する。」
「嘘…嘘!嘘!!」
木徒ちゃんは目にいっぱいの涙を溜めて、それでも泣くのを堪えてぶんぶんと
首を振って必死に否定した。迷子の子供が駄々をこねるように叫んだ。
「おい、クソガキ。」
「嘘だよ…お兄ちゃんはずっと木徒と一緒だって…ずっと側に居て木徒を守るって
いつも言ってくれたもん…絶対…絶対置いてったりしないもん!」
「その『お兄ちゃん』から伝言。」
羽鉦さんは目線を合わせる様に屈んで木徒ちゃんにふわりとマフラーを掛けると、優しい口調で言った。
「捨てに来たんじゃない、危ない目に遭わせたくない、一人じゃ寂しいだろうから。」
「うっ…うぇっ…!!」
「あいつなりにお前を守ろうとしてるんだ。今は守られてやれ、クソガキ。」
「…っ!!わあぁ――――――んん!!!!」
木徒ちゃんは座り込んだまま大声で泣き出した。多分本当はお兄ちゃんが迎えに来ないって判ってたんだと思う。でも認めたくなくて、一人が寂しくて、強がっていただけ。
BeastSyndrome -12.強がりの中に涙を隠して-
※次ページは12の舞台裏風味になってます。兄の真意がそこに…!
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門音
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お兄ちゃん!!;;(←
いやはや…凄く面白いですね!そして異常なシドのかっこよさ…(
私が書くとどうしてもヘタレなシスコンにしかならないのですが^^;(殴
そしてキトも可愛いなぁ…ww
次も楽しみにしてますね!!
2010/05/25 20:16:35