余程疲れてたんだろうか。一体どうしてあんな馬鹿な事を口走ったんだろう?そして…。
「わー豪華ホテルー。」
「…何でお前此処に居るんだ?」
「え?自分で誘ったんじゃない。」
「…やっぱり帰れ、気の迷いだ、ごめんなさい、もう良いです、はい回れ右しておウチに帰ろうね。」
「ちょ…!んもう!そしたら絶対寝ないでしょ?!」
「ソンナコトナイヨ?」
「あります!」
確かに寝ないがそんなの俺の勝手では無いんだろうか?そもそもどうしてこうなった?この女馬鹿か?
「あー、ほら、まずいんじゃないでしょうか?野郎と二人でホテルに二人っきりとか、俺がケダモノの如く
襲い掛かって危険な目にとかですね…。」
「貴方がケダモノなら寄って来る女の子三~四人位は軽く手出してたでしょ?」
「誰かするか!大体あんな化粧臭い女と寝れるか!自慢じゃないが積極的な女嫌いなんだよ!
社交辞令真に受けて嫌いなタイプにキャーキャー言われて何が楽しいか!」
「あー、清純派好みかぁ、判る判る。私も化粧とか苦手~。」
誰かこの女何とかしてくれ…眩暈して来た。もう大人しく寝た方が早いか?よし、寝よう、そうしよう。
「寝るから帰れ。」
「寝かし付けてあげるわよ?」
「いや…あの、ほら風呂とか入るしですね…。」
「弟で見慣れてるから別に平気だけど?」
「気にしろ!」
もう反論する気が失せて来て一人シャワールームに居た。流石に眠くなって来たけどこの状況じゃ寝られる気が全くしない。どうやって帰そう?そう言えば弟いるんだよな…そいつに連絡して迎えに来て貰うとか?いや、待て、このホテルに呼び出したら妙な事勘繰られる。かと言って素直に帰りそうもないし…酔い潰して俺が出てくとか?一先ずのぼせる前に出るか…この格好で倒れたら間抜け所の騒ぎじゃない。
――Piririririr…Piririririr…Piririririr…
「はいもしもし水影です。え?あー…頼流さん。」
「んー?」
「弟さんから電話ー。」
「俺の携帯に『水影です』って出るなよ!重要連絡だったらどうするんだよ?!」
「つい…。」
「ねぇ、頼流…何やってんの…?今の誰…?」
「色々あってこっちが聞きたい位だ…ところでどうした?」
「えーっと…ちゃんと寝てね…って言おうと思ったんだけど…それだけ…じゃ…。」
明らかに引いてる声で電話が切れた。誤解してる、絶対誤解してる、別に良いんだけどこの誤解のされ方はかなり不本意。あ、もう駄目だ、本気で意識飛びそう…怒る気力すら無い。寝たら帰るだろうか…?ぼんやりしたままベッドに倒れる様に横になった。と、レイの手がぽんと頭に置かれた。
「√ね~むれ~、ね~むれ~、えーっと…ふ~にゃ~ふにゃふらら~ふふ~…。」
「あーっもう!歌詞判らないなら無理矢理歌うな!そして微妙に下手なんだよ!
イラ付いて寝れるか!」
「失礼ね下手が歌っちゃいけないって法律無いでしょ?!」
「喧しい!」
「きゃっ?!」
売り言葉に買い言葉な勢いでレイを引っ張り込んでそのまま抱き締めた。
「…頼流さん…。」
「何…?」
「皺になるからジャケット脱いで来て良い?」
「…どうぞ…。」
「それと狭い、もうちょっと詰めて。」
「少しは警戒してくれ…。」
いっそケダモノになっても良いですか?ダメですよね、と言うか眠いです、お言葉に甘えておやすみなさい。
「√ねーむれ~…。」
「頼む、黙れ。」
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