「木下さん」
「安田教授、どうされました?」
「神波君と話してみて、どうだった?」
一方雅彦は木下と話していた。
「…彼は若いですね。特に内面が」
「…そうだね。恐らくだけど、今まで人間関係でややこしいことには遭ってないと思うんだ」
「それは同感です。ただ、Pをやっているなら遅かれ早かれややこしい事態に巻き込まれると思います」
「…だから、木下さんは自分の経験談や色々なことを話したんだよね?」
「はい、彼にはPをしていて、私のように人間関係が原因で嫌な思いはして欲しくないですから。ただ、高野さんが見込んだだけあって、飲み込みは早いですし、分別もあるようですし、ある程度は融通がきくようですから、多分大丈夫だと思います。それと、高野さんからの頼みで、神波君に教えることになりました」
「何を教えるんだい?」
「私が色々な曲を分析した結果や、そこから得られた知見です。神波君に私の全てを叩き込むつもりで教えます。かなり厳しくやるつもりですし、私と合うかどうかはわからないので、しばらくお試し期間として教えてから続けるかを考えることにします」
(木下さんは容赦しなさそうだね)
木下の真剣な表情を見ながらそう思う雅彦。彼女の話や、高野からの話を総合すると、恐らく彼女は恋人である高野の後輩といえども容赦しないように感じられた。
「安田教授、神波君は見込みがあると思いますか?」
「うーん、どうだろうね。僕はPはやったことないからね。その辺の資質は分からないけど、色々と聞く限り、彼は強くなれる気がする。話していると芯が強そうに感じるし、彼には支えてくれる人がいるからね」
「高野さんですか?」
「高野君もそうだけど、神波君のミクさんもいるからね。二人で支えあっていくことはできるんじゃないかな。神波君のミクさんは神波君に想いを寄せているようだし」
「…神波君と話しましたが、そういう風には見えませんでしたね」
「神波君の方は気がついていないかもしれない。…僕たちとあの二人が重なる気がするんだよ。だから、そのうち二人の距離が近づくかもしれない。あくまで印象だけだけどね」
「…かも、しれませんね」
「僕は神波君のこれからは楽しみだと思っているよ。Pは沢山いるから、その集団の中で埋もれないようにするにはかなり大変だと思うけど、レポッシュP君のサポートがうまくはまれば、その集団から抜け出せるかもしれない」
「神波君の技量的な問題ですか?」
「それもあるけど、彼が自分自身のPとしての個性を磨くことができれば、それは大きな武器になるんじゃないかな」
「…ただ、個性の内容にもよると思います。私みたいな変な個性でなければ良いのですが」
「…僕は木下さんの個性は独特だけど変じゃないと思うけどね」
木下をフォローする雅彦。とはいえ、再生数という数字が現実の一端を表していることは否定できないことはお互いに分かっていた。
「…とにかく、僕からもお願いするよ」
「…はい」
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